出版不況下の再出発 ぜひ支えて

書店が苦境に立たされている。読書離れやネット書店の台頭、雑誌の低迷などの要因が複雑に絡み合って経営に打撃を与え、今日、日本の書店の数は二十年前の約半数にまで落ち込んでいるという。
キリスト教書店も同じく、後継者不足や教会の高齢化も相まって、多くの書店が維持に困難を覚える。しかしキリスト教書店は地域の宣教拠点でもあり、その進退が地域教会に与える影響は小さくない。こうした状況の中、関西圏にあるキリスト教書店に新たな動きがある。

5月30日オープン

大阪府堺市にある単立チャペル・こひつじ(鷹取裕成牧師)内で二十年あまり営業を続け、今年4月末に閉店したキリスト教書店「ジョイフル」。その働きを引き継ぐかたちで、5月30日に、日本聖書協会(JBS)の直営書店「バイブルハウス堺」がオープンする。
JBSでは2023年に、堺市内にあった直営店を閉めて京都の直営店と統合させていた。しかしジョイフルの店長を勤めていた中山輝夫さんから閉店後の書店継続の依頼を受け、立地や諸条件を鑑みて、閉店後のスペースでの再出店を決めた。
「堺市内でも特に交通アクセスの良い立地で、また二つの書店の顧客が合わさることで、堺・大阪南部の文書伝道の拠点になることを目指しています。店舗スペースをお借りしているチャペル・こひつじも地域に根差した伝道熱心な教会ですので、相乗効果が期待できるのではないかと思っています」と、JBS頒布部の渡辺愛雄さんは期待をもつ。
店舗奥の、教会の集会室でもあるスペースではフェアやイベントも開けるほか、外のテラスも利用可能な店舗を整えたいと渡辺さん。じっくりと商品を選べる居心地の良い店舗と、奈良や和歌山方面への配達・発送も対応可能という使い勝手の良さも売りとして、広く利用を呼びかける。
「国内の出版業界全体が大変厳しい状況下での再出店です。お店を持続可能な形にするために不可欠な営業・経営努力といったビジネスマインドは維持しつつ、一人でも多くの方々に文書を通じて生きる希望、力、そして信仰を養う良書をお届けできればと願っています」
大阪府堺市北区 中百舌鳥町2-87 チャペル・こひつじ内 TEL072・255・4970

6月9日新装オープン 来店プレゼントも

阪神淡路大震災以来、神戸市の中心部で長年にわたって営業を続けてきた神戸キリスト教書店が移転し、6月9日に新装オープンする。
旧店舗は三ノ宮駅と元町駅の間にあり、駅からのアクセスが便利で、大勢の買い物客や観光客が行き来する賑やかな場所。好立地だけに家賃が高額で、やむを得ず移転に踏み切ったと、日本キリスト教販売株式会社(日キ販)の戸塚邦夫社長は話す。
移転先は、神戸駅から徒歩2分、高速神戸駅や地下鉄ハーバーランド駅からも徒歩数分という、これまた好立地。「元町ほど賑やかではありませんが、便利な場所だと思います」
近年の書店の苦境の中では、「今後も売上を維持していくことは厳しいと感じている」と戸塚社長。しかし今回、移転による継続を選んだのは、地域の牧師たちの声に応えてのことだ。「先生方からの書店が必要だという声もいただいたので、規模を縮小してなんとか維持していこうと思います。様々なキリスト教出版社の書籍を扱い、偏りなく本を見ていただけるような場所にしたいですね。長年営業を続ける中で棚の商品が一部固定化している面もあったので」と、機会を前向きに捉える。6月9日の新店舗のオープン日には、先着50人にプレゼントを配布予定だ。
神戸市中央区相生町4-5-12神戸駅前ATビル4階401号室

TEL078・331・7569 FAX078・945・9388(電話・ファクス番号は変更なし)

(2025年06月01日号 06面掲載記事)