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伝説の英雄ヒュー・グラスを演じるレオナルド・デカプリオ (C)2015 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved.

アメリカ西部開拓史伝説のヒーロー、ヒュー・グラスを演じ5度目のノミネートでアカデミー賞主演男優賞を獲得した話題の作品。ミズーリ川沿いの平原を毛皮・食肉用にアメリカバイソンを追って狩猟するハンターの騎兵部隊。物々交換のためにバイソンを狩猟する先住民との戦い。まだ雪が残る厳しい大自然のなかで、人間の欲望と息子を殺され復讐に燃える男の劇が繰り広げられる。命を懸けて追い続ける男が、「復讐はわたしのすることである。わたしが報いをする、と主は言われる。」(ローマ人への手紙12章19節)という聖書の言葉とも内心の闘いを憶えている姿にも感動する。

【あらすじ】
1823年、ヘンリー隊長(ドーナル・グリーソン)のハンター集団が、まだ未開拓の地ミズーリ川沿いの平原や森林を進んでいく。ハンターは砦で雇われた荒くれたち。一団を道案内するヒュー・グラス(レオナルド・ディカプリオ)は、白人に殺さてしまったが先住民ポーニー族の妻との子ホーク(フォレスト・グッドラック)ととともに働いている。

森にキャンプを張ったヘンリー隊長の本隊が、酋長の娘を白人にさらわれたアリカラ族に襲われた。かなりな損害を受けたが、グラスの機転で生き残った仲間たちを船に導きどうにか難を逃れた。

ある日、グラスが森の中でハイイログマに襲われ瀕死の重傷を負った。しばらくはグラスを担架で運んでいたヘンリー隊長だが、衰弱するグラスと険しい山越えは無理と判断して息子のホークと父子を慕うジム・ブリジャー(ウィル・ポールター)、そして、追加手当の金に釣られて居残りを志願したジョン・フィッツジェラルド(トム・ハーディ)の3人に後を任せてグラスを残していくことにした。

だが、グラスは強靭な生命力で数日間生き延びる。かねてからグラスに敵意を抱いていたフィッツジェラルドは、しびれを切らしてグラスを殺そうとする。その現場を見たホークは、ブリジャーを呼ぼうとしてフィッツジェラルドに殺されてしまう。身体は動かせず声も出せずに息子が殺されるのを目撃するグラス。ブリジャーが戻ってきたためフィッツジェラルドは、ホークの死体を隠しアリカラ族が襲ってくるとブリジャーに偽り、ヘンリー隊長との契約を反故にしてグラスを置き去りにしたままブリンジャーを連れて立ち去ってしまう。

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復讐劇の敵役フィッツジェラルドを演じるトム・ハーディ (C)2015 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved.

目の前で息子を殺されたグラスは、復讐への燃える思いが力になり、瀕死の状態からやがて這う様になり、驚異的な回復力で死の間際から蘇える。そして、フランのハンター団や先住民、バイソンや獣たちからの危険を覚悟でフィッツジェラルドの追跡を開始する。

【みどころ・エピソード】
「ゼロ・グラビティ」(2013年)「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」(2014年)に続いて本作で3年連続の撮影賞を獲得したエマニュエル・ルベツキの自然光を活かした大自然と満天の星空、ダイナミックな格闘シーンには息をのむばかり。
一方で、19世紀中ごろのアメリカ開拓期が時代設定。白人と先住民の共存と確執による暴力的なシーンや厳しい大自然でのサバイバルに耐え復讐一念に格闘するデカプリオの姿は何とも悲痛。リアルなアクションはR15+指定もうなずける、かなり重い演出です。それだけに、ラストシーンでのグラスの一言と行為が、怨念だけではない決断を示していて印象に残る一作です。 【遠山清一】

監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ 2015年/アメリカ/157分/映倫:R15+/原題:The Revenant 配給 20世紀フォックス映画 2016年4月22日(金)よりTOHOシネマズ日劇ほか全国ロードショー。
公式サイト http://www.foxmovies-jp.com/revenant/
Facebook https://www.facebook.com/20thFOXjp/

*AWARD* 2016年:第88回 アカデミー賞主演男優賞(レオナルド・ディカプリオ)・監督賞・撮影賞(エマニュエル・ルベツキ)受賞。第73回ゴールデングローブ賞映画部門作品賞・監督賞・主演男優賞受賞。第21回放送映画批評家協会賞主演男優賞、撮影賞受賞。全米監督協会賞2016長編映画監督賞受賞。全米撮影協会(ASC)賞2016撮影賞受賞。ロンドン映画批評家協会賞英国男優賞(トム・ハーディ)受賞ほか多数。