社会 – クリスチャン新聞

７月15日夜、会議で上京していた特権を生かし、国会前での抗議集会に参加しました。一市民としてここに加わることは、政権へのボディブローと世論を広く喚起する行動となると信じてのことです。歩道は人で溢れ、さながら満員電車のような状態。前進しては立ち止まりを繰り返し、国会正門前でコールしているＳＥＡＬＤｓの学生たちの場所に辿り着きました。実は、この集会に参加したいと願ったもう一つの理由は、リーダーのお一人が、心から尊敬する牧師のご子息だったからです。全国で注目を集め始める反面、バッシングにもさらされ始めた彼のためにもこのすばらしい運動を応援し、また祈りたいとの思いもありました。 これに先立つ２週間前、実は生まれて初めてデモに参加しました。名古屋の中心、栄で定期的になされている「安倍政権の暴走を許さない」という一般市民のデモです（教会では、現在、デモパレードと言い直しています）。しかもこれは、単に牧師一人の個人的な参加ではありません。教会（小会）の会議による決議を受け、教会としての意思表示として参加することとしたのです。すでに３回の参加となります。さらに８月には緑区の地下鉄徳重駅の十字路で、主日の午後に教会単独で「スタンディング」（フライヤー、プラカードを持ってその場に立つことで意思表示をすること）を行う予定です。これらすべての企画は、小会が担うのでなく、今回のために新しく組織した「政治的ディアコニア室（仮称）」（長老１名、執事１名〔室長〕、会員２名）によるものです。ちなみにこれは、３・11発災後、「東日本大震災ディアコニア支援室」を設置、直ちに支援活動したことが背景にあります。なお、この支援室もまた執事である室長が中心となり、原発事故による過酷な状況の中、ほとんど棄民のように仮設住宅に押し込められている福島県相双地区の被災者支援を中心に地道な活動を継続しています。 ＊ ＊ ＊ このような教会的行動に対し、「なぜ、キリスト者個人でなく、教会として、政治的な発言や行動をするのか、しなければならないのか」という議論が根強くあります。筆者は、この点についてすでに８年前、教育基本法改悪後になってしまいましたが、キリスト教メディアでも私見を公にしていますし、ここに詳述する余裕もありません。 何より名古屋岩の上教会は、「戦争責任の悔い改めの実りを結ぶ」という、一つの中心的な志をもって開拓伝道を開始しました。そのため、教会と国家の問題、教会の対国家的、社会的な務めについても、初期の頃から会員と学びを重ねてまいりました（ちなみに室長は、その頃の青年。学び会で最初に取り上げた書物は『嵐の中の教会』〔ブルーダー著、新教出版社〕です）。もし、そのような土台がないところで、牧師がこのような企てや行動をいきなり呼びかけることは、教会に建徳的でない混乱をもたらす可能性があるかと思います。一方、戦後最大の危機を迎えている今、信仰告白すべき事態にあるこの時のための備えをして来なかったとすれば、それは別の大きな問題でもあるかと思います。しかし、「時すでに遅し」ではありません。多くの教団、キリスト教諸団体から抗議声明が公にされ始めています。各個教会と牧師は今こそ、この現実をきちんと受け止め、会員との学びを始め深めて行けば、日本の教会が真の意味で、先の大戦の戦争責任、戦後責任に目覚め、これを日本の教会全体の教会形成の決定的課題とする絶好のチャンスになるかもしれないと、祈る者です。

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