フラー神学校「結婚の歴史的理解」再確認

性的少数者(LGBTQ)の学生や教職員の立場をどう考えるのか、米国の神学校で議論されている。世界最大級の福音派神学教育機関であるフラー神学校(カリフォルニア州パサデナ)の理事会は数年間にわたる議論と検討の末、今年5月に一つの結論を出した。本紙提携の米福音派誌クリスチャニティトゥデイが報じた。

フラー神学校は創設者らの核心的理念を堅持し、イエス・キリストの福音を世界中の人々に伝えることを体現する革新的な研究を推進するリーダーを育成し続けてきた(同校ホームページより)

対立避け「別の道」追求し続ける、とも

福音派機関の立場について議論と検討を数年重ね、LGBTQの学生、教職員、職員に影響を与える政策の変更を検討した結果、理事会はフラーの「結婚に関する歴史的な神学的理解」を再確認する決議を採択した。ただし、同校は「忠実なクリスチャン」が他の見解を持つことも認めるとの立場を表明している。
「フラー神学校は歴史的にイデオロギー的な対立を避けてきた」と、デイビッド・ゴートリー学長は5月の理事会会議の要約に記した。「私たちは、教会と世界への重要な貢献となる『フラー流の別の道』を追求し続けている」
シャーリー・ミュレン理事長は、この決定は、クリスチャンを分断する問題とフラーの神学的な核心的なアイデンティティーについて、長年かけて行われた慎重な議論の末に下されたと述べた。「これは、フラーがフラーであり、フラーはフラーであり続けるというサイン」だと同氏は語る。
「フラーは現在の対立を超越する神学校を目指してきた。…対立の両極から批判されるだろうが、私たちはその両極を複雑にすることで、福音の豊かさに人々を招きたいと考えている」
学術タスクフォースは、性倫理に関する継続的な対立に対する他の「第三の道」の解決策を検討した。2024年に配布された一つの提案は、フラーで同性愛関係を認める可能性を提示していた。性倫理基準の改訂草案では、この超教派神学校に所属する全員が「各自の属するキリスト教共同体と一致した誠実な生活を送るよう」求められるとされた。教職員はさらに、フラーの立場を支持し、「神学校と世界的な福音派神学共同体との信頼関係を維持・育成するために建設的に貢献する」ことが求められた。
もしこの立場を採用した場合、合同メソジスト教会、ディサイプル派、メノナイト教会USA、メトロポリタン・コミュニティー教会、アメリカン・バプテスト教会、および主流派のルーテル教会、長老教会、聖公会に所属するメンバーは、LGBTQ関係にある場合でも同校で働き学ぶことが認められることになっていた。
教授陣は全員フラーの信仰声明に署名し、コミュニティーの基準を遵守することに同意している。その基準には「性的関係は、男性と女性の間の契約的な結びつきである結婚に限定されるべきである」という条項が含まれる。しかし、同校は多様なキリスト教の伝統を持つ人々を雇用しており、現在の教職員のうち10人以上がLGBTQに肯定的な教会に所属している。
フラー神学校の創設者ハロルド・オッケンガは、同機関が福音派ではない教派に牧師を派遣し、それらを再建する役割を果たすことを望んでいた。彼のリーダーシップの下、フラーは設立から2年後の1949年に「エキュメニクス(教会一致運動)」の教授を雇用した。この採用は激しい論争を引き起こし、多くの批判者が学校は本当に福音派のアイデンティティーにコミットしているかどうか疑問視した。その教授は数年後、歴史家セシル・M・ロベックによると、「深い文化的・神学的な対立の真っただ中で、便宜主義のために犠牲にされた」という。
現在のゴートリー学長は、学校が議論の渦中においても、福音派とエキュメニカルなビジョンを継続して抱き続けていると述べている。「理事会は、神学と心理学の多様な分野のリーダーを育成し、神が彼らに奉仕するよう召した多様な環境と文脈に対応するために必要な能力を備える、というフラーの長い歴史を継続する決意である」とゴートリー氏は述べた。
LGBTQの学生と教職員に関する議論は、近年同校を揺るがせてきた。2019年と20年に2人の元学生が、差別を理由にフラーを提訴した。彼らは同性愛関係にあることを理由に退学処分を受けたと主張し、それは性別に基づく差別を禁止する連邦法に違反すると主張した。裁判所は、憲法修正第1条(信教の自由の制限禁止)を理由に、神学校側の主張を認め、この訴訟を却下した。
24年、フラーのブレーム芸術礼拝センターの上級ディレクター、ルース・シュミット氏は、同校の信仰声明への署名を拒否したため解雇された。
クィアと自認するシュミット氏は、学生および職員として、これまでこの声明に署名していた。しかし、合同キリスト教会で按手の準備を進めるうちに、彼女はもはや署名する気はないと決断した。「この問題をうまく切り抜けることはできるものの、私が奉仕すべき人々に害を及ぼすようなものに署名することはできない」という。彼女は解雇され、抗議運動が起こった。
ゴートリー氏は忍耐を求め、「これは私たちが取り組んでいる旅だ。これらの問題は、個人的、教会的、共同体的、そして制度的に大きな影響力があるため、慎重かつ粘り強く取り組む必要がある」と語った。今回の決定はフラーの双方の批判者にとって満足のいくものではなさそうだ。
信仰声明で同校は、より厳格な制限を求める保守派の要請を繰り返し拒否してきたことが明記されており、福音主義の境界に関する多くの議論が、福音主義の実際の任務から注意をそらすと指摘している。
「私たちは完璧である必要はない。私たちは神の確かな言葉によって歩みを導き、修正される。私たちはキリストの確かな恵みによって過ちを赦される。私たちは、神の栄光のために私たちの使命と彼らの使命を果たす中で、教会の継続的な善意を有している」

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