世界中で年間約200万人もの人々が、性的搾取、強制結婚、強制労働、臓器売買等々の人身売買の被害者になっている。大半は女性や子どもたち。背景にあるのは貧困や根深い差別だ。ネパールの少数民族バディ族は、そんな過酷な環境で生きてきた人々だ。子どもを売らなければ家族が食べていけないという現実に衝撃を受けた日本のクリスチャン女性たちが立ち上がり、2016年から現地と日本で支援活動を展開している。三重県四日市市の四日市キリスト教会で英会話主事を務めるウィリアムズゆりさんもその一人だ。代表理事を務めるNPO法人「バディカフェ」の働きを通して、バディ族と日本人が共に助け合う社会の実現に尽力している。【藤原とみこ】

バディ族は、かつてカースト制度の最下位に位置した人たちだ。現在カースト制度は廃止されたとはいえ、人々の意識に根強く残り、今でも貧困と差別に苦しんでいるのが実状だ。
三重県四日市市に工房を構える「バディカフェ」では、ネパール原産のコーヒー生豆、紅茶葉、現地のドライフルーツを使った焼菓子などを製造・加工・インターネット販売して、売り上げの一部をバディ族支援のために送っている。目指すのは、カフェの運営を通してバディ族の人たちを持続的な雇用と自立につなげることだ。
「自慢の焼菓子をご賞味ください。専属パティシエールが開発したオリジナルレシピを、心込めて焼き上げています。どこに出しても恥ずかしくない一級品です。香り高いネパール産コーヒーといっしょにお楽しみください」
まず買ってほしい、それがバディ族支援の一端になるからと、ゆりさんは勧める。カフェの役割を「WITH」と位置づけ、お客様や賛同者と共に、バディ族の人たちの未来を切りひらく活動に取り組んで行きたいと願っている。

自分の子どもを売って生き延びる社会
活動の発端は、ゴスペルディレクターの佐藤美香さんの呼びかけだった。佐藤さんは2016年からネパールのカースト差別下にある人々の救済・自立支援を行う働きを立ち上げ、現在一般社団法人ゴスペルエイドの代表理事を務めている。
佐藤さんはある集会で、宣教師からバディ族の差別と人身売買の実態を聞いて衝撃を受ける。ネパールのカースト下位の人たちは、地元の病院で診てもらえないほど差別されている。何の社会保障もない。仕事も低賃金の肉体労働があればいい方だ。教育の機会もなく、識字率は極端に低い。子どもを売って食いつなぐ家族が大勢いる。バディ族が暮らすのは、その典型のような地域だ・・・
(次ページ[下部ログインボタン]で、バディカフェのスタート、ネパールで見た忘れられない風景 など約1200字)
定期購読で宣教情報を着実に<電子版、紙面版>
分断した世界でこそ、異なる働きを知り、理解し、出会うきっかけに
牧会・宣教に役立つ情報、
多様な連載を掲載!
紙面、ウェブを刷新し、さらに充実しました。
無料公開は一部。定期購読で、着実に情報を得られます。
また購読で発行をお支えください。購読はこちら
