敗戦 – クリスチャン新聞

川口氏 日本同盟基督教団の「２０２３年平和祈祷会」が、８月11日、同教団の「教会と国家」委員会主催で行われた。横浜市の横浜上野町教会とオンライン合わせて100人超が参加した。立教大学兼任講師、東京基督教大学国際宣教センター研究員の川口葉子氏が、「戦時体制下のキリスト教弾圧」と題し、弾圧した国家、弾圧された教会、弾圧されなかった教会、の論点で講演した。 １９８９年の灯台社を皮切りに、プロテスタント諸教派が「日本基督教団」として合同した41年頃から、治安維持法違反での検挙が本格化していった。同法は、無政府主義や共産主義の結社を想定し25年に制定されたものだが、41年、国体を否定し、神宮・皇室の尊厳を冒涜する結社についても、処罰できる法律へと改訂。キリスト教の再臨と神観についての教義が、これに抵触するとされた。 偶像礼拝を受け入れず弾圧された教会について、耶蘇基督之新約教会を際立った例として挙げた。日本神話、神宮、現人神信仰を明確に否定する尋問調書が残る。これは川口氏と山口陽一氏の共著『知られなかった信仰者たちー耶蘇基督之新約教会への弾圧と寺尾喜七「尋問調書」』（いのちのことば社）に詳しい。 再臨信仰も当局の標的となった。当局は、一般のキリスト教は「霊魂の救済」を目的とするもので、「地上神の国」の実現を目的とする教義は国体を否定し、天皇統治廃止を目論むものだ、と恣意的に解釈。特にホーリネスは、国家に協力的態度をとっていたにも関わらず、「精神的霊的再臨信仰」ではなく「現世的政治的再臨信仰」を持っているとされ、組織の「破砕」を目的とする厳しい弾圧を受けた。川口氏は、「国家が教義を奪い、解釈し、強要」したことで、「意のままに蹂躙（じゅうりん）」し、「信仰の根絶が目指された」と評した。 当局が弾圧の標的を選んでいることから、「裏を返せば国家が容認し得るキリスト教のあり方があった」と指摘。それが日本基督教団の大勢であり、当局が認めた教義解釈に徹し、弾圧された側の非を主張した。「日本基督教」や「皇国基督教」として、「皇国の道に則る」キリスト教を目指すものであり、キリスト教を利用した国策に主体的に応えた。教師錬成会で国策を教育し、忠良な臣民になることを牧師や信徒に求めた。軍用機献納、必勝祈祷会などを行い、「証しが立てられる」と戦死を奨励し、アジア諸国にも多くの苦しみを与えた。 川口氏は、この情況が戦後「教会を守った」とも評価されることについて、「その守られた教会とは、果たして本当に教会だったのか」と問うた。 川口氏は、黙示録21章１～４節から「再臨は待ち望むべきもの。新天新地は永遠の希望。この約束が奪われることも、自ら手放すことも、あってはならない」と結んだ。参加者らは、委員会発題の祈祷課題で祈り、同盟教団の「平和のための祈り」で声を合わせた。偶像礼拝と戦争責任を悔い改め、主体的信仰による今日の務めを確認し、主の平和を願い求める祈りをひとつにした。【間島献一】

日	月	火	水	木	金	土
	1	2	3	4	5	6
7	8	9	10	11	12	13
14	15	16	17	18	19	20
21	22	23	24	25	26	27
28	29	30	31

〝弾圧から守られた教会〟とは ＦＣＣ研究員 川口氏講演 同盟基督８・15集会で

〝弾圧から守られた教会〟とは　ＦＣＣ研究員　川口氏講演　同盟基督８・15集会で