<ママのパイが焼けたら><片岡栄子><21><人生に春をもたらすお方>
パステル画の題材にと、九州から届いたという桜の一枝をいただきました。まだまだコートが離せませんが、見渡せば、山々はほんのり薄紫に色づいてきています。春は確実に近づいているようです。少し早いかなと思いながら、厚手のセーターを洗い始めました。どの季節の到来もわくわくしますが、春は、すべてが新しくなるという気配に満ちています。
P・トゥルニエ博士が「人生の四季」というテーマで講演を依頼されたとき、一人の女性が語った言葉は春の意味を広げてくれました。彼女は、冬で終わってしまう人生の四季ではなく、例えば秋のまっただ中にも春をもたらすことができるお方を語るようにと願ったのでした。
春にはたしかに、回復や新しい期待を感じさせるものがあります。このところ、長い冬の時代に停滞しているかのような寒々とした事件が相次いで起こり、その報道にも対処の仕方にも「何か変」と感じていましたが、そんな中、冬季オリンピックの開会式で、小沢征爾の指揮のもと、衛星中継で同時に、ドイツ、中国、オーストラリア、南アフリカ、ニューヨークの国連本部の人々が「喜びの歌」を合唱するのを聞いたときが、じつは今年一番初めに春を感じた瞬間でした。 「御神は我らの父親なれば/御子なるイエスをば『兄上』と呼ばん/世人よ親しみ互いに助け/御旨のなる日をしのび待てかし」(聖歌八五番四節)
=第1・3週掲載=
