<落穂抄>
キューバといえば、太陽がさんさんと降り注ぎ、サトウキビ産業が盛んで、アマチュア野球では世界最強チームがいる…といった印象がまず浮かんでしまう。一方で、カストロ国家評議会議長による独裁共産主義政権という近寄りがたい顔を持つこのキューバに、今、変化の兆しが見えている◆一月二十一日からローマ教皇ヨハネ・パウロ二世がキューバを訪問、野外ミサで人権や表現・結社の自由を確立する必要性を訴えたという。宗教的には人口の四二%がカトリック。キューバへのローマ教皇の初めての訪問に、それを受け入れたカストロ議長の政治的思惑も見え隠れする◆共産党支配のキューバにあって、制限された形でキリスト教会はその存在を認められてきた。しかし、聖書の真理に立ってクリスチャンが行動しようとするとき、当然のように迫害やあつれきが起こる。今回の教皇訪問は信仰の自由の保障に門戸を開いたとも考えられている◆キューバでは人口の三%がプロテスタント教会の信徒といわれるが、政治的解放のみならず、少数派の福音的クリスチャンが願っていることは、キューバでみことばの宣教がさらに広がることである◆一月五日、キューバの福音派教会から現地のエキュメニカル集会で約十万冊の聖書をカトリック教会に贈呈したというニュースが伝えられた。これは、キューバの教会にとって真の成長のカギを握る出来事ともいえる。
