希望をつなぐ−熊本地震の中で学校は 九州学院院長 阿部英樹

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復興への長い道のりを耐える

2号館 校舎解体中

解体中の2号館校舎

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3号館ホール(学年別礼拝で用いていたホール 天井が椅子の上に崩落)

熊本地震が発生して5か月が経とうとしています。新聞報道(熊日新聞8月17日版)によると、地震の回数はこれまでに震度4以上の地震114回を含めて千985回もあり、本震のあった4月16日には1日200回を超える地震がありました。そして、今なお千480人もの方が県内46か所で避難生活を送っています。
私たちの九州学院は、震災後すぐに全国の皆様からお祈りの中に覚えていただき、丁重な励ましのお言葉とともに、お見舞いを賜りました。お心遣いとご支援に心より感謝しています。私たちの学院が、祈りによって皆様とつながっていることを信じるときに、主イエスを通して与えられる絆とつながりを心強く思います。また、皆様の存在がとても身近なものに感じられて、勇気が与えられます。祈りこそが、学院が今置かれている困難を乗り越えて、建学の精神を堅持して使命を果たしていくための原動力になっています。
大地震の4月14日には、200人を超える地域住民の方たちが本学院に避難され、次の本震後にはさらに多くの400人を超える方たちが、九州学院のグラウンドに避難して来られました。学院では、新体育館を地震初日より避難場所に使っていただくことにして、自らも被災者である教職員ボランティアたちが、地域の被災者に対するお世話を9日間続けました。
震災後に最初となる教職員朝礼(4月18日)は、いつもと同様に聖書の御言葉と祈りによって始まりました。生徒を4月26日と27日に登校させることは、余震が続き、市内のほとんどの学校が5月8日まで休校とする中で、勇気のいる判断でしたが、生徒たちがお互いに気遣い合っている姿を見るとほっとする思いでした。登校日の全校礼拝では、聖書を通して希望のメッセージが語られました。その後、軽度損傷の校舎の復旧工事を済ませて、5月9日(月)に仮設校舎を使用するなどして通常の授業を再開することができました。
九州学院は、これまでにも台風や水害などによる自然災害を幾度も経験してきました。しかし、今回の熊本地震では県内21ある私立の中学・高校の中で最も被害を受けた学校の一つとなっています。校舎の建替えや改修に伴う被害総額も十数億円に及びます。
余震が続く中で、経験したことのない困難な状況にある生徒、保護者、さらには教職員が今なお多数います。50人を超す生徒の家屋が全壊、あるいは住めないほど損壊しています。震災前の住居で生活できない生徒の数は、家族で車中やテントで夜を明かす生徒を含めて多い時には120人を超えていました。
一連の熊本地震の終息がいつになるかわからない中で、再建と復興に向けた取り組みは緒に就いたばかりです。試練の時に課題は数多くあります。苦難の中にあって、復興に向けた再建の長い道のりを進む時、折れそうになる心を支えながら、変えることのできない状況を受けとめるには、苦境を耐え抜く力が必要です。しかし、あまりにも課題が大きく、心身が疲れた中にあっては、茫然自失する時もあります。このような状況の中にある時、私たちはどうやって前を向くことができるでしょうか。
「希望は、強い勇気であり、新たな意志である」。宗教改革者ルターの言葉です。私たちは、危機的な状況に置かれた時に、希望を持つことがどれほど自分を勇気づけてくれたかを経験から知っています。希望は、私たちに勇気を与えてくれます。いかに道のりが険しくとも、希望を見出すことができれば、明日に向かって今を生きることができます。希望は、「神様が共にいて最善の道を導いて下さる」ことを祈って信じることから生まれてくると思っています。それによって私たちの心は癒され、勇気を得て、復興への意志が与えられ強められると思うのです。

九学正門-1

与えられた命と賜物を大切に
世のために自分を活かす

ところで九州学院は、105年の歴史を通して、キリスト教の精神を土台とした教育を行ってきましたが、その中で変わることのない思いを継承してきました。それは、一人ひとりが神様から与えられた尊い命と賜物に気づき、自分を大切にするだけではなくて、自分の周囲にいる人たちのことを考え、より良い社会や世界を創りだすために、役に立つ人に成長するということです。すなわち、世のため人のために自分の使命を見出して、自分を活かすとういうことです。九州学院は、校訓「敬天愛人」を持ち、教育目標として「自分で自分を監督して、役に立つ善人になりなさい」を掲げてきました。創立以来このような思いを継承しながら、神様と人から愛される心豊かな人に成長してほしいと願いつつ教育を進めています。
キリスト教の精神を拠り所とする教育を担う本学院には、希望を明日につないでいく使命があります。私たちに思いを寄せて下さる皆さまや、生徒、教職員、保護者及び関係者と、神様が与えてくださる希望を分かち合いながら、共に歩んでいきたいと切に願っています。
「わたしたちは知っているのです、苦難は忍耐を、忍耐は練達を、練達は希望を生むということを。希望はわたしたちを欺くことがありません」(ローマの信徒への手紙5章3~5節)
今後とも、お祈りの中に加えて頂けましたら幸いに存じます。皆様からのお祈りと温かいお心遣いに心から感謝しています。