熊本地震は、県内の歴史的建造物等文化遺産にも多くの被害をもたらしたが、その1つ熊本バンドゆかりの「ジェーンズ邸」も2度の大きな揺れに遭って全壊した。現在損壊した建物の部材の調査撤去作業が進められ、再建に向けての取り組みがなされている。
日本のプロテスタント教会の源流の1つに数えられる熊本バンドは、草創期の同志社英学校(後の同志社大学)を支え、後にキリスト教界のみならず、明治期の日本社会に多くの人材を輩出した。その彼らが熊本の地で学んだのが熊本洋学校であり、その教師であったL・L・ジェーンズの住居が「ジェーンズ邸」で1871年に建てられた。学生たちは、ジェーンズから学業のみならず生活全般にまで厳しい教育を受け、キリスト教信仰へと導かれていった。
当初熊本城内に建てられていた「ジェーンズ邸」は、熊本県内で現存する最古の木造洋風建築として県の重要文化財に指定され、震災当時は熊本城の東方、水前寺公園横に移築され一般公開されていた。昨年4月14日の最初の揺れの時には壁が落ちた程度で大きな被害のないことが確認されていたが、16日の本震で全壊した。同志社校友会熊本県支部長で現在建物再建のために活動している木下智夫さんは「2回目のたて揺れで建物が浮き上がり、下に落ちる形で崩れたのだろう。最初の揺れでは大丈夫だと聞いて一安心していたものがこうなってしまって…」と残念がる。最初の揺れの直後から、ジェーンズ邸を心配する連絡が全国から入り、その対応に追われたと言う。
建物は北側に倒れたが、部材の飛散は少なかったため、建物再建のためには幸いした。建物の部材を雨から守るため、応急のブルーシートが掛けられたが、7月には防水のテントが寄贈されて全体を覆い、今まで週2日通気のためにテントを上げる作業を市役所の職員が、下ろすのを「ジェーンズの会」のメンバーが担ってきた。
「木造建築は部材さえ残っていれば再建は出来る。どれだけ当初の物を使えるかが問題」と熊本市経済観光局文化振興課の担当者は話す。建物は3回移築されているため、木材や瓦などすべての部材を手作業で運び出し、当初からのものかどうかを調査し、出来る限り再利用して建築当時の姿に近づけていく。2月13日は部材回収作業が公開され、地元紙などでも報じられた。「再建場所も検討し、国の指定も目指したい。3年以内に完成させたい」としている。
ジェーンズ邸の被災状況については、同志社校友会熊本県支部のホームページで見ることができる。URL http://www.kumamoto.doshisha-alumni.org/ 【髙橋昌彦】

