熊本・大分地震から1年を迎えた4月14日から16日まで、記者は被災地の熊本県を訪問した。震度7を観測した本震から1年目の16日は、くしくもイエス・キリストの復活を祝うイースターの日だった。記者は、熊本市北区下硯川の熊本ベテル教会(楊茂華牧師)の礼拝に出席した。


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熊本ベテル教会は熊本駅前からバスで約40分ほどの郊外にある。会堂の被害からは守られたが、震災直後の礼拝は行うことができなかった。
当日はソプラノ歌手でクリスチャンシンガー吉村美穂さんを迎えてのコンサート礼拝。洗礼式も行われるなど、盛りだくさんのプログラムだった。
礼拝では、同教会の宮崎たけみ伝道師がメッセージで1年前の出来事を振り返った。「ちょうど1年前の日曜日、私たちは礼拝を守れなかった。ガスと水が止められていたので、私は家族と温泉に行った。そこではトイレの水が流れていたことに感動を覚えた。普段の生活がどれだけ恵まれていることか。地震によっていろんなことを学んだ。そして1年後の今日、皆さんと一緒に礼拝をささげ、イエス様の復活をお祝いできることを感謝したいと思います」
前日、熊本に来たと言う吉村さんは、「神様を必要としているところに自分から出て行って賛美ができること、神様が皆さんと出会わせてくださったことに感謝している。神様は傷ついた皆さんの心を引き上げてくださいます」と話した後、「You raise me up」を心を込めて賛美した。
「熊本をしっかり訪れたのは初めて」と言う。「1年前に大きな地震のニュースを聞いた時、今すぐにでも皆さんに歌を届けたいという思いはあったが、なかなか来ることができなかった。でも、今回実現できて感謝しています」
東日本大震災から2か月後のヨーロッパでのコンサートツアーのことを証しした。「その時期は日本中が大変で、震災の影響でいろんなイベントが中止になっていた。ヨーロッパツアーはどうなるんだろうと不安に感じていたところ、すぐ電話があって、私が予定しているコンサートを全部チャリティーにしましょう、と。その対応の早さにびっくりしました」
そのツアーで、かつて日本で宣教していたフィンランド人に会ったことも明かした。「30年以上日本に住み、私より美しい日本語を話していた。人生をかけて日本に来てくれた方がいたことに励ましを受けた。世界には私たちが一度も会ったこともない人たちが、私たち日本人のために祈っているのです」。そう語った後、「誰かがあなたのために祈っている」を歌い上げた。
吉村さんは4月20日まで熊本に滞在し、益城町の仮設住宅の集会場などでコンサートを行った。
熊本ベテル教会は震災直後、支援活動の拠点になった場所だ。楊牧師は当時をこう振り返る。「会堂と駐車場が守られたので、ライフラインが復旧したら、すぐにここをオープンした。フェイスブックで近況をアップデートしていたら、見た人から物資が送られてきたので、礼拝堂を物資の置き場所に、地域の一軒一軒を訪問し、物資を届けた。がれき処理や引っ越しの手伝い、水の配達もした。いろんな所から駆けつけてきたボランティアにも泊まっていただいた。そんな状況が連休明けまで続いた」
「震災の時に教会が支援拠点になれたのは大きい」と楊牧師。「12年前にここに教会を建てたのはこのためだったのか、本当に選ばれたなと。当時は非常事態で、考えたようには機能できなかったけれども、単立ながら、主にあるネットワークの真実さが、支援の働きに繋がったと思います」
【中田 朗】

