混乱期経て素晴らしいチームに マーティ氏「効果的なチーム作るには」 「キックオフ大会2021」②

写真=チームビルディングについて話すマーティさん(左)

東京オリンピック・パラリンピックが新型コロナウイルスの感染状況によって開催されるかどうか不透明な中、今年も「キックオフ大会2021」(日本国際スポーツ・パートナーシップ〔JiSP〕主催)が2月15、16日、「チームとして歩もう~Ready Set Go~」をテーマにオンラインで開催。15日午後は、スポーツ宣教師のマーティ・ウッズさんが「チームビルディング どうやって効果的なチームを作り、成長するか」と題して語った。

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最初にグループワークで「チームに属して良かった経験、悪かった経験」を参加者同士で共有した後、マーティさんがJiSPのキーワードとして、▽一致=収穫の時のために強固な網にしていく、▽聖霊の炎=私たちの一致がなる時、炎が加わる、▽神の御国を求める=私たちでなく王に仕えるため、を挙げた。

 

その上で「チームは、共通の目標を達成するために相互に依存し、サポートし合う個人のグループ」と定義。「この共通の目標を達成するために、日本でどのようにチームを作っていけるのか」と問うた。そこで、アスリートチャーチの鈴木まどかさんが、日本の教会の長所を生かしたチーム作りについて分かち合った。「日本のスポーツ選手は外国の選手に比べて身体が小さい。でも、世界一のバトンリレーを生み出した400mリレー日本代表メンバーのように、一人ひとりは小さいがチームになると本来持っている力以上のものを発揮する。それはどの競技にも共通するものだ。ビジョンに向かって、チームで助け支え合いながら進む時に、まだ誰も見たことのないような日本のリバイバルを見ることができると思う」

 

マーティさんは、健康的なチームを建て上げるためには、①タスク(課せられた仕事、課題)、②メンテナンス、③個人のニーズ、が必要だと語る。「タスクは、グループの理由または目的に焦点を合わせ、それを達成させるために誰が、どこで、何を、どのように、いつ行うか、という基本的な質問に対処するために必要だ」

「メンテナンスは、グループの人々がリラックスし、グループの一員であると感じられるよう助け、彼らの特定のニーズと長所、短所をもって自分自身になれるようにするために必要な作業だ」

「様々なグル―プに属している人々には、個々のニーズが存在する。多くの場合、グループで認められていない個人のニーズが、グループの中で問題を引き起こす」

グループ内で起こりがちなケースも挙げた。「私たちは時々、タスクにフォーカスを当てすぎてメンテナンスを疎かにしてしまう。すると、人々は『自分はケアされていない。ここにいる意味は何なのか。このチームにいる必要はあるのか』と考えるようになる。一方、タスクがないグループは目的がないので、皆が違った価値観でバラバラに動いてしまう。健康的なチーム作りには、タスクをしっかり持ち、また人々もしっかりケアすることがとても重要だ」

写真=チームの形成段階のグラフ

形成期、混乱期、統一期、機能期、散会期と、チームの形成段階についても説明。「形成期は、チームが形成されたばかりの状態で、遠慮しながらも和やかに見える場合と、明らかに緊張感が漂っている場合がある。まだチームワークが醸成されていない段階だ。混乱期で、意見や主義・主張のぶつかり合いが起き、それぞれの考え方、やり方、ポリシーが明確に浮かび上がってくる。統一期では、混乱期を乗り越え、共通の規範や役割ができあがる。目標がしっかりと共有され、チームとして従うルールが定着する。機能期では、チームが機能し成果が生まれ、成功体験ができ、リーダーに言われなくても自律的に動けるようになる。散会期は、各メンバーが別のミッションに向けて動き出す状態だ」

マーティさんは「混乱期が次のステップのために重要だ」と強調する。「どのチームも必ず混乱期を経験する。だが、ビジョンがしっかり共有され、混乱期を乗り越え、統一期,機能期を迎えたチームが素晴らしいチームだ。チームは二人三脚のようなもので、歩調が合うまで時間がかかる。何度も倒れては一緒に歩く中で神様が一致を与えてくださる」と語った。(つづく)【中田 朗】