2025年4月、南太平洋にあるサモアから宣教チーム11人が来日。同時にシンガポールからも4人の家族が来日して、約20人でトラクトを配布し、日本の家庭に福音を届けた。
EHC(全国家庭文書伝道協会)の働きは世界192か国で行われている。日本ではその働きはいのちのことば社の中に位置づけられている。現在、2038年までに全世界の全家庭に福音(トラクト)を届けるプロジェクト 「オイコス計画」が行われている。
サモアチームのリーダー・モルガン牧師は、「1800年代、英国から宣教師ジョン・ウィリアムスがサモアに来て、9年間、サモアで福音を届けた。そして、人々がキリスト教を受け入れて、サモアは変わった。その9年後にはサモアから宣教師を送り出すようになった。彼らは何も持っていなかったが、立ち上がり、福音を携えて出て行った。英国からの宣教師がサモアを変え、サモアから出ていった宣教師がその国を変えていった。今回は、サモアとシンガポール、日本でのチーム。私たちは神さまを愛し、日本人を愛しているので共に働きをすることができる。必ず、日本の人たちが神様を知ることを私たちは信じている」と語った。
「福音を止めるものは何もない」とも強調した。「福音を伝えるのはクリスチャンの責任。あらゆる人は証し人になると聖書に書いてある。私たちは全世界に出て行って弟子としなさいという聖書の言葉を胸に遣わされたところで働く。UP(イエス様が天に昇り)、DOWN(聖霊が下り)、OUT(出て行く)。全世界へ出て行って福音を届け、そして成長して輝きなさいという神さまの大宣教命令に従って今後も進んでいきたい」と語った。
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サモアは、南太平洋に位置するポリネシアに属する島国で、常夏の気候と美しい自然が特徴。人口は約22万人。ウポル島とサバイイ島を主島とする九つの島から成り、年間を通して気温が高く、熱帯気候に属する国。農業、漁業、観光業が主な産業。ポリネシア文化が根強く、伝統的な生活様式が今も残っている。サモアは、世界で最も西に位置する国であり、日没が最後となる国としても知られている。サモアから日本へはフィジーを経由して飛行機で約20時間かかる。サモア語と英語が公用語だが、日常的にはサモア語が使われることが多い。

サモアの教会
サモアの教会では、礼拝は2~3時間行われるとのこと。サモアのクリスチャンは伝道と宣教に非常に積極的で、限られた資源と財政にもかかわらず、海外への宣教師を送り出し続けている。
EHCサモアでは、毎週アウトリーチを行うほか、病院や刑務所を訪問、週刊ラジオ番組も運営している。 また、弟子訓練などにも積極的に取り組んでいるとのこと。サモアはクリスチャン人口が多いが、その中でも地道な働きを通して福音を届けている。

サモア・シンガポール・日本のスタッフでトラクト配布

今回サモアからのチームは日本に初めて来日。あらゆることが初めての体験。サモアの人々は道行く人とも互いに挨拶し、時の流れがゆっくりとした穏やかな国とのこと。サモアには鉄道がないため日本で初めて電車に乗り、満員電車も体験。サモアでは時間に追われて急ぐことがないなど、何もかも異なる日本の中で、「私たちは日本人を愛している! UP、DOWN、OUT!」と掛け声をかけ合いながら、すべての人に福音が届けられるようにと祈りつつ、日本でのトラクト配布を行った。
今回のチームリーダーであるモルガン氏はこう言う。「太平洋の小さな発展途上国から来た私たちは、日本の先進的な発展、時間厳守、社会の在り方にとても衝撃を受けました。この旅は、サモアや太平洋の島々以外の世界に対する私たちの理解を大きく広げてくれました。日本では何百万人もの人々がイエス・キリストを知らず、クリスチャンの人口も非常に少ないことを目の当たりにし、私たちは悲嘆に暮れました。日本の教会と信仰者が伝道への情熱を育み、同胞に福音を効果的に伝えることを願い、祈らされました」
彼らは、トラクト配布をする中で、通りがかりの人から声をかけられ、トラクトを渡しながら熱心に英語で話しかけていた。また、今回トラクト配布に参加したジョンはスポーツジムで日本人の青年と親しくなり、イエス・キリストの福音のメッセージを伝えた。青年は熱心に耳を傾け、ジョンがイエスを主であり救い主として受け入れたいかどうか尋ねると、うなずき、青年と祈ることができたことは大きな喜びだったと言う。
今回のトラクト配布に参加したEHCスタッフは「サモアの方々と関わる中で、サモアには日本とまったく異なる文化、暮らしがあることが分かってきました。異なる言語、文化を持った私たちが神様の福音を伝えるという共通の目的のために同じ道を歩いていくとき、一人ひとりが神様によって集められた者であることを強く感じました。自分の知らない地でも福音は届けられていて、またその地から日本へと同労者を神さまが遣わしてくださったことに神さまの偉大な計画と恩寵を感じました。
各家庭に祈りをもってトラクト配布をする中でその家庭に神さまの祝福がありますように、福音が届きますようにと心から祈れるように変えられてきました。神さまからいただいた愛を自分の中にただ留めておくのではなく、その愛によって他者と関わり、また、神さまを知らない人に福音が届くように、神さまの愛に応答していく者でありたい」と語った。
文化も背景も異なる者が主にある一致、福音を伝えるというひとつの目的によって共にこの働きを進めることができた。また、この働きのために背後でたくさんの祈りが積み重ねられたこと、その必要が満たされたことにも感謝する。
(レポート・相澤直実=いのちのことば社EHC主事)
(2025年06月08・15日号 06面掲載記事)

