「防災アイテムは普段から使って役立てて」 首都圏教会防災広域フォーラム

「首都圏教会防災ネットワーク広域フォーラム」(クラッシュジャパン主催)が6月26日、東京・千代田区神田駿河台のお茶の水クリスチャン・センターで開催された。第一部のセミナーでは、石原靖大氏(災害支援団体いのりんジャパン代表、岡山ジョイフルプレイズチャーチ牧師)が「平時でも役立つ災害の備え 能登の災害から地域の災害対策を考える」と題して語った。

石原氏

 石原氏は、7年前の西日本豪雨災害の時に災害支援に従事。地元岡山では、「町内会で防災部長、防災士としての役割を果たしている」と語る。能登半島地震では、まだライフラインが復旧していない1月から現地に入り、井戸掘りの手伝いをしてきたという。
 その経験から、防災を考える上で感じたこととして、⑴いかに怪我せずに生き残れるか、⑵ライフラインをどう確保するか、⑶専門家・業者の不足、⑷情報を得ること、発信することの大切さと難しさ、⑸残るか移住するか、を挙げた。
 その上で、いのちを守るため、普段から揺れで家具やテレビなどが飛んで来ないよう固定しておく、開閉できるようドアの向こうに家具を置かない、一時滞在場所を確保しておく、など防災上のポイントを説明した。

 また、準備しておくと便利なアイテムとして、第一にエアマットレスを挙げた。「安価でたたみやすい。枕付がお勧め。どのメーカーもホックが付いていて連結できる。私は常に車に積んでいる状態で、平時でもお客様用として使用している。普段の生活にも震災時にも役立つアイテムだ。町内会の防災教室でもお勧めし、何人も購入された。災害時に帰宅困難者が想定される。彼らを教会が受け入れるためにも、首都圏の教会でエアマットレスを備えてもらうことを検討してほしい」

 第二に、井戸の設置。「水の確保は深刻な問題だ。1週間分はペットボトル水を備蓄しておく必要があるが、保管場所が必要になる。だが、日本の家屋は狭い。それをクリアするのが井戸掘りだった」
 「珠洲市では、井戸を掘ったら水が出た。そのことで洗濯ができるようになり、ボイラーとつなげてお風呂支援が始まったりした。ろ過システム(電動・手動)を使うことで飲み水にもできる。日本には災害協力井戸の登録制度がある。自治体ごとに活用の有無の差はあるが、自治体によっては補助金も出る。水洗トイレも井戸水に配管を変えれば災害時に使用できる。ぜひ首都圏の教会で井戸を設置してほしい」

 第三に、スターリンク(衛星インターネット)の活用。「地震が発生すると、基地局がダメージを受けることで『スマホがつながらない』ということが起こる。会社によって復旧のスピードも違う。そんな時、能登で役立ったのが、某支援団体から無償提供されたスターリンクだった。電源さえあればWi-Fiが使用でき、設置が簡単で移動も可能。1台6,600~1万円ほどで、設置費用は3万円ほど。災害時には情報発信が非常に大切なので、こういうアイテムをぜひ活用してほしい」

 最後に、「防災アイテムは普段は使わないものにコストをかける、という考えでなく、普段でも活用できるもの。エアマットレス、井戸、スターリンクも、教会のキャンプや町内会のイベントで使用しながら、防災に役立てていただけたらと思う」と結んだ。

 第二部は、首都圏の各ネットワークからの活動報告と祈りの課題などを分かち合った。また、オンラインで能登地震キリスト災害支援会(能登ヘルプ)の世話人らとつなぎ、代表の岡田仰氏から穴水に2棟の建物を取得したことを報告。「穴水クリスチャンセンターとして、ニーズ調査、コミュニティー支援のために活用していきたい。いろんな団体が入って使用してほしい。近日中に開所式を行い、7月中旬以降には使えるようにしたい」との報告があった。