【インタビュー】過去土台に未来志向の宣教協力  JEA代表ら韓国UCCK光復節式典に参加

UCCKの光復節80周年記念式典で挨拶する水口功JEA理事長

過去の反省を確認し、未来志向の宣教協力が進もうとしている。韓国福音派の代表的な連絡組織、韓国教会総連合(UCCK)の光復節80年記念礼拝および式典に、日本から日本福音同盟(JEA)の代表者らが出席した。日本の戦争責任の謝罪と今後の宣教協力を確認し、JEAが6月のJEA総会でまとめた「戦後80年にあたってのJEA声明」の韓国語訳も届けた。UCCKはホームページ(ucck.org)で、14日に式典の模様および、JEA声明の韓国語訳を掲載した。以下、UCCK式典の概要、記事後半にJEA水口功理事長のインタビューを掲載する。

光復節式典で水口氏が挨拶

式典の様子

礼拝・式典は、80年前の日本統治からの解放を記念する光復節直前の、8月13日にソウルの延世中央教会で開かれた。平日ではあったが、1万人近い人々が参加した。JEAからは、水口氏、石田敏則前理事長(総務局アドバイザー)、岩上敬人総主事の3人が、8月12~14日に韓国を訪問した。

同式典は韓国キリスト教140周年も共に祝った。式典内で「私たちの誓い」が読み上げられ、「朝鮮半島の分断の癒やし、恒久的平和と回復」、「分裂と対立を利用して利益を得る貪欲な政治を拒み、統合の政治、希望の政治のために祈る」、「韓国教会は、絶え間ない福音的刷新を通して命を生かし、希望を与える」ことが誓われた。政府代表として金民錫(キム・ミンソク)首相も祝辞を述べた。

水口氏がJEAを代表して挨拶。「かつて日本が韓国をはじめアジア諸国を侵略し、神社参拝を強要した罪を知り、悲しみ、改めて心から謝罪し、悔い改める」と語り、戦後80周年を迎え次世代に「過去の罪を伝える責任を誠実に果たす」ことを誓った。韓国教会の日本宣教に感謝を示し、「UCCKと日本福音同盟がアジア宣教と世界宣教のため、またアジアと世界の平和のために共に手を取り祈り、協力していけることを心から願う」と話した。

UCCK代表の金鍾革(キム・ジョンヒョク)牧師(韓国長老会合同 総会長)が応答し、「私たちが信じる十字架の福音と、JEA代表の謝罪を土台として、韓国教会と日本教会は次世代の福音化と平和・共存・協力の未来を開いていかなければならない」と述べた。

近年UCCKが韓国主要教団から成る宣教協力団体の再編を進めている。JEA(日本福音同盟)は以前、CCK(韓国キリスト教総連合会)と宣教協力覚書を交わしていたが、CCKがCCIK(韓国キリスト教会連合)と分裂し、異端カルト団体の線引きが不明瞭となったため、13年にその関係を解消した。CCIKも分裂し、近年、UCCKが福音派の組織化を進めている。

長らくJEAは韓国との公式の窓口がなかったが、昨年の第七回日本伝道会議以来、JEAはAEA(アジア福音同盟)に加盟するKEF(韓国福音協議会)と交流を続けてきた。KEFを通じ、UCCKのつながりも開かれてきた。

【インタビュー 水口功JEA理事長】

JEA80年声明が用いられた

―今回UCCK(韓国教会総連合)からの式典招待には、どのような経緯があったのでしょうか。

実は、今年5月にUCCKの申総主事が来日し、会食をして、宣教協力を語り合う機会がありました。UCCKは、韓国の主要教団の9割が加盟する団体です。また6月のJEA総会後は、岩上総主事が韓国を訪問し、交流を深め、今回の光復節80年記念への招待状をいただきました。急きょではありましたが、なんとか時間をやりくりして3人で訪問することが出来ました。

改めて不思議な〝時〟を感じます。今年は戦後80年のJEA声明を出すことが出来ました。以前お話しましたが、プロセスにおいては、この声明を出すかどうか自体議論がありました。しかし、この節目に決議できた。韓国のUCCKとも共有できたことは、とても折にかなった出来事だなと思いました。

―韓国の光復節80年という節目に声明を携えて行けたのは非常に意義深いことですね。

今回式典での挨拶で、通訳いただいた、河成海(ハ・ソンヘ)牧師(単立狭山のぞみ教会牧師)も準備段階でアドバイスいただき、「まず最初に謝罪の言葉をしっかりと述べてほしい」とおっしゃいました。もちろん、私も初めからそのつもりでした。そして、実際に韓国に行って痛感しました。韓国の代表も、未来志向といったことをおっしゃったけれども、それは決して、過去を水に流すということではありません。歴史をしっかりと認識した上での未来志向の宣教協力なのです。

―挨拶ではどのようなことに重点を置きましたか。

1つ目は謝罪。過去の植民地化、言葉を奪ったことなども含めた歴史があります。それをまた日本の教会が、結果的にその当時の日本政府の行ったことを支持してしまった。教会の悔い改めを述べました。

2つ目は感謝。戦後韓国も大変な苦難の中を歩まれたわけですけれども、韓国の教会が和解の福音を携えて、「宣教の不毛の地」と言われる私たちの国に、たくさんの宣教師を送ってくださいました。

3つ目は、この悔い改めと感謝を踏まえ、韓国と日本の教会が主にあって一致して、宣教協力をしていきたいということ。それは日本と韓国だけではなく、東アジアや世界の平和と宣教協力への取り組みになります。

UCCK金代表

過去の謝罪の上の宣教協力 未来世代のために

式典翌日には、UCCKの事務所で会談しました。金代表は「過去の戦争の加害者としての謝罪の上に立った宣教協力であること」を改めて語っていたことが印象的です。過去にだけとらわれるのではないけれども、しっかりと過去の謝罪の上に立った宣教協力ということを、未来志向で進めていきたい、ということでした。具体的には次の世代への継承が重要です。次の世代のそれぞれの指導者が、この路線に立った上で、より宣教協力をしていけるように、という意味での未来志向です。このつながりを大事にしながら、ますますお互いの協力をしていきたい。

―韓国の福音派とのかかわり、異端問題などで難しいところがありましたが、徐々に交流が強まっていますね。

昨年4月は、KEFのお招きで韓国を訪問しました。JEAとしては、これからもKEFとの交流も大事にしていきたいと考えていますが、KEFは、性質上個人参加のネットワークなんですね。今回のUCCKが、教団教派代表の集まりとなります。今後も宣教協力を深めたいと思います。

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