自著『今、「平和」とは何か 戦後八十年のキリスト教平和学』(いのちのことば社)発行に併せ、豊川慎氏(改革派・湘南恩寵教会長老、関東学院大学理工学部准教授)が、平和構築の課題について講演した。特に「『構造的暴力』としての南アフリカとイスラエルのアパルトヘイト」に触れ、戦後80年の平和の神学の課題を挙げた。

2025年平和学習会「戦後80年 いま平和を考える」(9月25日、オンライン、日本キリスト改革派教会・東部中会社会問題委員会、日本長老教会・社会委員会主催)の講演から。
最初に、豊川氏自身が平和への関心を持った経緯について触れた。「祖父が第二次世界大戦で経験した話を事あるごとに聞いた。アムステルダム自由大学に留学中、捕虜として日本軍から過酷な仕打ちを受けた元オランダ人兵士との対話集会「日蘭和解の会」に参加した。帰国後に採用された東京基督教大学共立基督教研究所の「宗教の公共性」研究会で座長を務め、追悼施設の問題や、靖国問題、政教分離の問題とは何かについて研究を進めた。これらの体験を通じて、キリスト教の観点から平和の問題について考えてきた」
平和学についても説明した。「平和学は、国際関係論、経済学、社会学などの境界線を越え、新たな学際分野として1950年に誕生した。目標は『平和』という価値を追求し、暴力なき世界を目指し、暴力の連鎖を生み出している社会の構造的な歪みの原因を探求、強制し、平和を構築することだ」
(次ページで、平和学の広がり、平和構築、和解の方法、米国教会のイスラエル国家への見解、など、約1300字)

