
特集「3人に聞く」今回のテーマは「『異質』なものとどう向き合う?:排外主義」。バックホルツ美穂(東京ライフチャーチ共同主任牧師、日本ローザンヌ委員会委員長)に聞く。
「よそ者(nokri)」でなく友人として
【根底にあるもの】
外国人嫌悪とは、日本のみならず、どこの国にも存在するものです。その根底には未知なるものへの恐れがあるのではないでしょうか。それは、慣れ親しんできた社会が見知らぬものに変わってしまうことへの漠然とした不安です。ある特定の地域に住み着いてきた人たちにとって、その地域社会は自らが主流派として支配する立場にあることが、ごく当然とされます。外国人がその社会に入り込むことによって、中心的な立場や支配する特権を手放すことへの抵抗が生じます。
特に、日本のような、ほぼ単一民族・単一言語の国家においては、内と外の区別がより顕著です。昨今のヘイトスピーチや外国人を排斥しようとする政治的動きは、グローバル化に伴って年々外国人人口が過去最多を更新し、2070年までに外国人比率が総人口の10%に達するとされている日本において、その急激な社会の変化についていけていない日本人が多くいることを表しています。支配的立場を維持するために、外国人から搾取し、結果として正義と公正が成されない社会を作ってしまっているのです。真面目に働く外国人が痛み、傷つく一方で、窃盗などの手段に走る稀(まれ)なケースだけが大きくメディアに取り上げられることにより、排外主義に拍車がかかるのではないでしょうか。
(次ページで著者周辺で感じる社会の空気感、外国人との適切な関わり方の提案など、約900字)
