
ラグビー・ワールドカップ開催の2019年に日本に移住し、様々な国際スポーツ大会でミニストリーを展開してきたスポーツ宣教師のマーティ・ウッズさん。一方、メンターとして50人ほどの日本人をメンタリングしてきた。ウッズさんはこのほど自著『A Willing Spirit』の邦訳版『やる気を引き出すメンタリング─人生を変える人の霊とその役割』(リンスコット綾訳、2千200円税込、Fusion Japan)を出版した。
メンタリングとは、メンター(指導者)がメンティー(被育成者)の自発的・自律的な成長を促す人材育成法だ。クリスチャンの場合、メンティーが知識だけでなく、神とつながっている自分の霊の声に耳を傾けることを意味する。ウッズさんは日本でも多くの日本人男性と関わり、メンタリングを通じて彼らの癒やし、回復、成長を促してきた。
クリスチャンホームでなく、父親不在のような家庭で育った。4歳の時、同性の人から性的虐待を受けた。「このことを通して、自分の内面が複雑になっていったのを覚えている」と明かす。だが8歳の時、母親が日曜学校に連れていってくれた。教会には、99匹の羊を背後に、1匹の羊を担いでいる羊飼いの絵が飾ってあった。「この絵を見たときに、この羊を担いでいる羊飼いは、自分の今の気持ちを分かってくれる存在だと一瞬で悟った。その方がイエス様であることを後で知った」
12歳の時、全寮制の学校に入学。そこでロッドという寮長と出会う。彼は、ウッズさんにとって生涯のメンターとなった。「出会った瞬間から、私は彼の目に留まり、愛され、信じてくれているのが分かった。彼はイエスについて語ったが、そのことば以上に、私を教え導く中で神を示してくれた。当時の私は父親像を求めていたのだと分かるが、彼の愛を通して、父なる神の愛を知った。そして、それは私を永遠に変えた。自分が何者であるかを知り、自分という人間を発見した」
ウッズさんは、「私に倣う者となってください」(Ⅰコリント4・16)とパウロが語ったように、「私も彼についていくことによって、イエス様についていくことになった」と話す。「ロッドが他者と関わる姿は、自分にとってはまさにイエスの姿そのものだった。そして、彼のようになりたいと思いながらついていった」
17歳の時、今度はウッズさんがメンターとなった。「寄宿舎の新入生を受け入れた時、ロッドは私に彼らをメンタリングする役割を任せてくれた。その時、私がしたことは、すべて彼が私にしてくれたことだった。すなわち、彼らを見て、話を聞き、自分らしく居ることのできる場所を作り、信じ、応援すること。ここからメンターとしての私の働きが始まった」
以後、多くの人々をメンタリングすることになる・・・
(次ページで、メンティーたちとのかかわり、メンティーたちの声)

