
記・齋藤篤(日本基督教団仙台宮城野教会牧師、同教団カルト問題連絡会世話人)
支配・被支配の構造は変わらず
統一協会に対する今般の解散命令は、あくまで「宗教法人」としての統一協会に対する解散命令でした。統一協会が保有していた財産は清算され、宗教法人であったがゆえに得ていた、税制面の優遇などの特権は失われました。
しかし、憲法でうたわれている「信教の自由」は、変わらず保障されています。実際に、統一協会という団体が、解散後も宗教活動を展開しています。また、統一協会解散後、清算を経た残余財産は、統一協会の関連団体とされている仏教系宗教法人へ移管されることが決定しており、統一協会が今後、その団体を自分たちの活動の場とすることが、大いに予想されます。
つまり、統一協会自体の本質は何ら変わることなく、今後も被害に苦しむ信者や家族たちが現れるだろうということを、私たちは注視する必要があります。同時に、これまで被害を受け続けてきた方々に対するケアの課題が、決して終わったわけではないということも、私たちは深く受け止めなければなりません。

そして、これはなにも統一協会だけに限ったことではありません・・・
(次ページ[下部にログインボタン]で、指導者の在り方、自由を奪われた被害者と向き合う必要、)
指導者による「抑圧」によって、聖書を「悪用」して、信者に対して、有無も言わせないような「支配・被支配構造」をつくりあげる特徴を持つ、いわゆる「異端・カルト教団」の存在が後を絶ちません。既存の教会すらも、「カルト化」する危険性を、私たちは決して否定できませんし、そのような実例が報告されています。つまり、神の御国が訪れるその時まで、決して他人事にできない課題なのです。
では、私たちが、異端・カルトにより傷ついた方々に対して、どのように向き合うことができるでしょうか。

自由を奪われた被害者と向き合う必要
第一に、私たち自身が、教会が「健康であり続けるための営み」を忘れないということです。そのためには、つねに御言葉に聴き、神の抱く価値観を理解し、祈り、自分自身を整えるということは必須ですが、それでも独りよがりになってしまう可能性があります。そのうえで、日本異端・カルト対策キリスト者協議会(JECAC)監修の「教会健康度チェック」を、個人・教会が定期的に用いて、自己点検を行うことが有用であると言えるでしょう。少しでも疑問点が生じるならば、そのことを謙虚に受け止め、改善策を講じる必要があります。
第二に、信仰者の「自由」は、神から与えられていることへの深い自覚を持つということです。特に、教会の門をたたく、いわゆる「カルト宗教被害者」は、「見せかけの神」によって自由が奪われてきましたから、そのような方々が「健全な自由」を求めておられるということを、私たちは意識する必要があります。ですから、ものを考える自由が剥奪され、痛みを抱えた方々に向き合うとき、教会が、牧師や信徒が異端・カルト教団と同じようなことを勧めたのでは、全く意味がありません。傷ついた心が、神によって解放され、自由にされていくプロセスを私たちが大切にしたときに、神が与えられる「喜び」が、援助者・被援助者の双方に共有されていくのを、私たちは実感することができるでしょう。
私たちが「イエス・キリストの心」をもって、神の助けをいただきながら、被害者の方々にじっくりと向き合うことができますように。
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