受胎告知 エル・グレコ

ルーベンス、カラヴァッジョにエル・グレコ…、巨大なクリスマス聖画が教会の外壁に映し出された。12月24日、大阪府池田市のMB・石橋キリスト教会ではイブ礼拝に訪れた人々や通りすがりの人らが、巨匠たちが描いた縦4メートル、横3メートルの絵画のスライドショーに見入っていた。中には教会近くのカラオケ店から店員がわざわざ見に来る姿も。

1年前から始めたというこの取り組み、受胎告知や羊飼いたちの礼拝、博士らの来訪を描いた聖画のデータをインターネットを通じてダウンロードし、プロジェクターで投影するだけのシンプルなものだが、好評を博し2年連続での開催となった。

スライドショーを作成した教会員の藤川義(ただし)さんは、「おもに16、7世紀にヨーロッパで活躍した画家の作品で構成しています」と語る。絵画の色味やストーリー性を考慮して順番を決めたという。スライドショーに合わせて静かなクリスマスキャロルをスピーカーで流し、演出もこらした。

藤川さんの一推しはレンブラントの「東方三博士の礼拝」。「“光と影の画家”と称されるとおり、明暗のコントラストが美しく、教会の壁にレリーフが施されたように映る」と言う。

東方三博士の礼拝 レンブラント

また絵画を拡大することで気づく発見もある。「ロレンツォ・ロットの『キリストの誕生』には、画面左上に小さく、将来を予見するかのように十字架が描かれている。画家の信仰や思いが伝わってきます」

キリストの誕生 ロレンツォ・ロット

藤川さんとともに準備にあたった脇坂契一さんは、「プロジェクターがやや旧式なので光量が足りない。1年をかけて献金を募り、近くの鉄道駅にいる人の目にも留まるような新しいプロジェクターを購入したい」と早くも来年への思いを語った。

当日は聖画スライドショーのほかに、クリスマスのアニメーション動画も投影された。