【レビュー】喪失を通して知る神の愛 評・蔡香
喪失を通して知る神の愛 『キリストの愛に基づくグリーフケア エマオの途上を主イエスと歩む』 評・蔡香
この地上の生活では、誰もが必ず喪失を経験します。死別、失業、別れ、病気…など、喪失の種類は多岐にわたります。クリスチャンとして喪失に向き合うとはどういうことでしょう? また、喪失を悲しむ友に信仰をもって寄り添うために、何ができるでしょう? これらの問いに、この本の著者・岩上師は、カウンセラーであり牧会者でもある立場から丁寧に応えてくださいます。
人生で遭遇する全ての喪失経験の背後には、罪による神との関係の喪失があり、神を愛し人を愛することができなくなってしまった人間の現実があります。人生に起こる様々な喪失は、私たちをキリストの十字架による贖いへと導き、神の愛を知り、神の愛に生きる者へと造り変えられていく機会であると著者は語ります。
この本の第一部では、罪人を救い、神と人を愛する者へと造り変えてくださる神によるグリーフケアがみことばから教えられ、グリーフケアの聖書的・神学的土台が明示されます。第二部では、グリーフケアに役立つ心理学の基礎知識がコンパクトにまとめられています。第三部では、復活後にエマオの途上で弟子たちに近づかれたキリストの姿から、グリーフケアを実践するための具体的な指針が示されます。各章の終わりには、振り返りのための問いが用意されています。
この本は、グリーフケアについての知識を教えてくれるだけではありません。長年カウンセラー・牧師として仕えてこられた著者の実体験に基づき、悲しみに寄り添うことの難しさや葛藤のただ中で、著者自身がいかに神の恵みを見出してきたかが豊かに証しされています。
読者は、著者の経験に励まされ、自らの心の奥にそっと触れられて、神がくださる慰めと希望を新たに経験する機会をいただくでしょう。それこそがグリーフケアを行うために最も必要な整えであると著者は教えています。
喪失の悲しみにキリストの愛をもって寄り添うことを望む全ての人に、確かな道を指し示してくれる一冊です。
(評・蔡香=OMFインターナショナル宣教師、牧会カウンセラー)
『キリストの愛に基づくグリーフケア エマオの途上を主イエスと歩む』
岩上真歩子著
いのちのことば社、1,650円税込、B6判
(2023年06月04日号 08面掲載記事)
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