『想い』つづる小冊子 癒やしのイラストと言葉
『想い』 絵と文:恵美子 B6判22頁
教文館に去年置かれた、小冊子『想い』。好評だという冊子を開くと、ふっと肩の力が抜けるような作品が並んでいる。ポーズも様々で表情豊かな猫や、植物のイラスト。そこに添えられるのは御言葉や、「できないんじゃなくて、自分のできることからやってみる」といった、作者の経験あってこそ紡がれる言葉の数々。どれも忙しい日々の中で見過ごされがちな、風景や気持ちに光を当てた作品だ。筆で書かれた絵や文字には、作者のあたたかさまで滲(にじ)んでいる。
イエス・キリスト教会祈りの家信徒である恵美子さんは、PTSD(心的外傷後ストレス障害)という病で苦しんでいたときに洗礼を受けた。絵を描くのは薬を飲みながら、疲れてしまうので1週間に1回ほど。「イエス様を信じ、力をいただいて、祈りつつ絵と言葉を書き続けてきた」という。過去の傷をふとした瞬間に思い出し、心が痛むこともあった。それでも、過去の代わりに幾度も振り返るようにしたのは、新しくされたことへの希望と、御言葉の数々だった。読み進めるごとに、恵美子さんがイエス様と共に一歩ずつ進んできたことがひしひしと伝わってくる。
冊子の一頁より
この小冊子を多くの方が持ち帰っていったのは、多くの共感を呼ぶからだろう。心を休める時間もなく無意識のうちに疲れ果ててしまったり、他人の目や言葉を気にせずにはいられなかったり……。抱えている想(おも)いを消化できず、世代を問わず「生きづらい」という声が、多く耳に届く現代。どうか届いてほしい、と願ってしまう作品ばかりだ。大切にしまって読み返したくなるトラクトとしても、自分へ贈る癒やしアイテムとしても。
作品集『想い』(無料)のお申し込みは、
TEL. 044-855-0173
〒216-0032 神奈川県川崎市宮前区神木1-3-45、イエス・キリスト教会祈りの家
まで。
【松尾結実】
(2024年05月26日号 05面掲載記事)