8月4日号1面:新宿・歌舞伎町でゴスペル賛美集会 「トー横広場に主の臨在満ち」
日本最大の歓楽街として知られる東京・新宿区歌舞伎町。飲食店や性風俗店などが密集する町だ。最近では「トー横キッズ」と呼ばれる若者たちが注目を集めるようになった。歌舞伎町に居場所を求め、新宿東宝ビル周辺の路地裏にたむろする若者たちのことだが、彼らの間では売春や暴力行為、薬物依存、飛び降り自殺などが絶えず起きており、犯罪の温床にもなっているという。そんな若者たちに福音を伝えようと「歌舞伎町ミニストリー」を行ってきたクリスチャン有志による賛美集会「ゴスペルfor歌舞伎町」が6月27日、トー横広場で開催された。 【中田 朗】
賛美集会は正午に開始。出演アーティストは、ゴスペルアーティストのヒョヌク(韓国)、ゴスペルシンガーソングライターのMichiru(日本)、親子ゴスペルバンドのHeaven Worship(韓国)。各アーティストの持ち時間は2時間で、賛美の歌声は午後7時半まで、歌舞伎町の空に轟(とどろ)いた。主催者の吉垣大地さん(初めの愛の火ミニストリー)は、当日の様子をこう報告する。「当日、梅雨入り宣言直後で雨と曇りの予報が続いていたにもかかわらず晴天で、気持ちの良い風が吹いていた。韓国やアメリカから宣教師と祈り手たち、日本の神の家族たち総勢200人以上がこの日のために祈り続け、集まった」
「賛美の最中、突然外国人に話しかけられた。『この集会は何ですか?』。私は、ここに集まっている人々がクリスチャンで、イエス・キリストを賛美していることを伝えた。どこの国から来たのか尋ねると、イスラエルだと答えた。東の果ての国の歌舞伎町で、主をほめたたえる賛美の真っただ中で、私はユダヤ人の彼に祝福を祈ることができた」
「3組の賛美者たちが捧げた賛美により、主の臨在が満ちていくのが分かった。Michiruは欲望渦巻くこの場所で、『世の楽しみよ去れ』と『キリストにはかえられません』を賛美した。最後の賛美グループが賛美を捧げている時、4人のクリスチャンでない若者たちがステージの前に出て来て、賛美の中で主の名を叫び、旗を振り、歌い始めた。いつも歌舞伎町にいる人々も旗を振りながら賛美を楽しんでいた。イエスを知らないある若者は『なぜだか分からないが、胸に響くものがある』と、賛美集会の様子をずっとビデオカメラに収めていた。その場で腰が癒やされ帰っていった人もいた」
吉垣さんは、「歌舞伎町で福音を伝える」志を与えられ、昨年5月から歌舞伎町でミニストリーを開始。トー横広場やハイジア(大久保病院)前に集まる人たちと話したり祈る活動を行ってきた。活動中、すでに歌舞伎町で宣教やプレヤ―ウォーク(祈りの歩行)をしていたクリスチャンや「歌舞伎町で宣教したい」と願う国内外の宣教師や宣教チームとつながった。職安通り沿いにある新宿西教会(深谷春生牧師)がミーティングの会場を提供し、歌舞伎町から近い場所にあるクリスチャン経営の喫茶店「ぶどうの木」の場所を借り、日曜と木曜午後6時から9時まで「ティーンズカフェ」を開くなど、協力者や協力教会も現れ、活動も広がっていった。
そんな中、「トー横広場を借りられるから、賛美集会を開けたらいい」という話が持ち上がった。「最初は現実的ではない」と思ったが、ある宣教師と姉妹から同時に「砂漠にたくさんの花が咲いている夢を見た」という話を聞いて、「この集会は御心だ」と確信し、手続きを始めることにした。
だが、「宗教的な事柄は一切禁止」だった。ところが、何と約1か月前にトー横広場でゴスペルコンサートが大々的に開催されていた。日本ではゴスペルが音楽文化として定着していたのだ。早速、ゴスペル集会として行政に申し込んだところ、すべての審査を通過し開催決定。「当日は祈りもメッセージもなく、ただ天の父に霊と真の賛美が捧げられた。福音の種はまかれ、天の水門は開かれ、聖霊の雨は降った。歌舞伎町で新しいことが始まっています」と語った。
(2024年08月04日号 01面掲載記事)