西堀氏

日本キリスト改革派西部中会・世と教会に関する委員会主催の8・15集会が神戸市の神港教会で開かれた。テーマは「環境危機とキリスト者~私たちはどう考え、どう生きるのか~」。西堀元牧師(北神戸キリスト伝道所宣教教師、神戸改革派神学校非常勤講師)が語った。以下は講演の要約。

―「温暖化」どころか「地球沸騰化の時代」だと言った人がいます。気候変動は不可逆で修復不可能なものになりつつあるように思われ、地球温暖化やさまざまな汚染物質など、環境を取り巻く危機はますますグローバル化しています。環境破壊は平和を脅かす問題であり、環境をめぐる平和と正義は私たちの問題でもあります。しかし、真っ先に責任を果たすべきキリスト者たちが環境破壊の元凶のように言われた時代がありました。私たちはどう考え、どのように行動すれば良いのでしょうか。

2023年に日本キリスト改革派大会で宣布された「平和の福音に生きる教会の宣言」には、「神の被造世界における平和と正義を希求し、これをよく治める責任(スチュワードシップ)が委ねられています。それゆえ、すべての人間の命を脅かす生態系の破壊や原子力発電所問題など、環境を巡る平和と正義にも関心を持ち続け、被造世界の保全と回復のために努力します」とあります。

地球温暖化防止の切り札とも言われる原発ですが、その科学的根拠をしっかり吟味する必要があります。国策として原子力産業に注力するフランスなど、各国の政治的思惑が反映されているからです。確かに発電時には二酸化炭素は出ませんが、鉱石の採掘や輸送、発電所の建設の際には大量の二酸化炭素が排出されます。さらに発電時の廃熱が原発周辺の海水温を上昇させていることも、あまり知られていません。

原発を動かしてはいけない理由は、いくつもあります。まず、地震・事故・テロなどの可能性です。また、差別の構造も見逃せません。過疎地に厄介な施設を押しつけ、都市部はメリットだけを享受しています。原発内では、下請け・孫請けの労働者が危険な業務を担わされています。さらに鉱石の採掘現場は安全性など度外視され、採掘に伴う廃棄物から出る放射線が地域住民の健康を蝕(むしば)んでいます。さらに「トイレのないマンション」と言われる廃棄物処理の問題も未解決のままです。原発は未完成の技術なのです。

それでも日本政府は原発の再稼働を進めています。そこには「原子力ムラ」と言われる人々の利権構造があるだけでなく、、、、、、

2024年09月01日号 05面掲載記事)