孤立者へ〝贈り物〟開始 OBJクリスマス・ギビング・アクション 小さな声かけが光を灯す
10月25日から募金が始まった、オペレーション・ブレッシング・ジャパン(OBJ)の「クリスマス・ギビング・アクション」。経済的理由や病気、災害などで社会的・精神的に孤立している家庭を中心にプレゼントを届け、地域の孤立化を防ぐ社会貢献プロジェクトだ。12月初旬からは、いよいよギフトの配布がスタート。厳しい実情が見えてきた。
以下は、オペレーション・ブレッシング・ジャパン(ОBJ)スタッフによるレポート。
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─今年最初の訪問地は福島県南相馬市。震災復興の歩みを進めるこの地で、私たちは一人暮らしの高齢者や、外出が難しい方々のもとを訪ねました。
訪問先の一人である80代の女性は、数年前にご主人を亡くし、同時に脚を痛めたことで、外出する機会が大きく減りました。冷たい風が吹く冬場は脚に響くので家の外に出るのもつらく、近隣との交流も希薄になっていました。最近の様子を伺いながらギフトを持ってきたことを伝えると、その女性はスタッフの手を握り、目に涙を浮かべて胸の内を話されました。「ずっと自分のことを気にかけてくれて、本当にありがとう。最近は兄弟もみな亡くなってしまい、医者にも『長生きする意味ない』と話していた。でも、こうして会いに来てもらえるなんてうれしい」
別れ際には「また来年も元気で会いましょう」と約束し、皆様の想いのこもったプレゼントを渡すことができました。
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孤独や孤立の問題は年々深刻化しており、今年施行された「孤独・孤立対策推進法」もこうした社会課題の解決を目的としています。内閣府が実施した「人々のつながりに関する基礎調査」によると、単身世帯で孤独を感じる人の割合は54・8%に上り、非単身世帯の20・6%を大きく上回りました。
統計で明らかになったのは、相談相手がいないと答えた人々の多くは、「相談しても意味がない」、「相手に負担をかける」と考える傾向が強く、困りごとがあっても支援につながる機会を逃してしまうケースが多いとのことです。この状態は、困ったときに「助けて」と言える受援力の欠如の現れであり、孤立が深刻化する要因の一つとなっています。
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しかし今回の訪問のように、小さな声かけや訪問によって、孤独や孤立に光を灯すことができます。「私はあなたを気にかけている」、「あなたのことを覚えている」ことを相手に伝えることで希望が生まれ、生きる意欲が取り戻されるのです。
「クリスマス・ギビング・アクション」のギフトは、単なるプレゼントではなく、「あなたは一人ではない」というメッセージそのものです。
この活動では、全国千世帯にギフトを届けることを目標にしています。地域教会や全国各地のパートナーの協力を得ながら、被災地を含むお一人ひとりに丁寧に寄り添う取り組みを行っています。誰もが孤立しない社会を目指して、 皆様の温かなご支援をどうぞよろしくお願いします。─
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ギフト内容は、お米、お菓子、クリスマスカードなど(子育て世帯には絵本や文房具なども含む)。対象は被災者、単身高齢者、ひとり親世帯など。クリスマス募金の受付は12月25日まで行っている。
募金窓口URLhttps://objapan.org/donation/donation-ob/
(2024年12月22・29日号 01・12面掲載記事)