「FUTURE NOW」より① 福音の翻訳を待っている“余白”に届く

5月24日に都内で行われたカンファレンス「FUTURE NOW: TOKYO」には、IT、クリエイター、メディアなど多業種のクリスチャンが世界から集った(6月8・15日号参照)。内容を抜粋し伝える。今回は、IT技術、音楽、コミュニティーなどに関わる中村恵久さんの発表。

 

▷ ▶ ▷

 中村さんは「古きを新しく生かす」と銘打ち、「福音の再表現」の必要を自身の経験から訴えた。
 中学生で参加したキャンプで現代的なワーシップソングに初めて出会い、「福音が自分の言葉に翻訳された」「神は遠い存在ではなく今ここにいる」と感じた。キャンプから戻り、難解な文語の賛美を歌う礼拝に出席していると、「友達に届かない表現」に戻らなければならないことに涙した。今では理解できる賛美も、当時の自分には届かなかった。だからこそ〝再表現〟が必要である、と論じた。
 「自分の教会で心から賛美したことがない」と語る青年が、教会外の集会でうれしそうに賛美するのを見たことから、「教会のあり方でなく、心から神に応答できる場所があるかの問題。絶望でなく、新しい表現が生まれるための余白。福音が〝翻訳〟されるのを待っている空間。日本に必要な教会とは、そこに届く教会だ」と論じた。

 自身が関わる取り組みを紹介。「Magni fy Tokyo」はZ世代の文化・文脈に福音を翻訳する。「OVER COFFEE HUB」は、説教原稿を書く牧師とプログラミングコードを書く一般客が隣り合い対話が生まれる〝教会ではないが、福音の香りが漂う〟カフェ。「FaithTech」と「CALM」は、テック、起業、デザイン分野で働くクリスチャンたちと共に教会やミニストリーを支援するネットワーク。
 「制度や文化の枠を超えた新しいことを、神は今も始めている。それぞれの場所で、〝小さな翻訳〟を始めて」と呼びかけた。
(つづく)

中村恵久氏