【世界の迫害状況】「極度な迫害」下の緊急祈祷課題 「ワールド・ウォッチ・リスト2025」

オープン・ドアーズの報告書「ワールド・ウォッチ・リスト2025」が発表された(2月2日号で既報)。中でも、「極度な迫害」として特に深刻だとされた13の国の状況と祈祷課題を抜粋、掲載する。

1.北朝鮮

信仰が発覚すれば、処刑もしくは、労働収容所に送られ政治犯として扱われる。重労働が科され、生き残れる者はほとんどおらず、その家族も同様に扱われる可能性が高い。地下教会でさえ、大きな危険にさらされている。政府のスパイだけでなく、隣人同士が互いに監視し合い、密告する。2020年に制定された「反動思想文化排撃法」により、信仰や聖書所持が重大な犯罪となった。
【祈りの課題】推定40万人の信徒が共に礼拝する道が与えられるように。神の平和が勇敢な信徒たちをさらに元気づけてくださるように。

2.ソマリア

暴力的なイスラム過激派組織アル・シャバブは政府と戦争状態にあり、国土の大部分を支配している。イスラム法に厳格な彼らは、キリスト教根絶に専心し、しばしば信徒をその場で殺害してきた。イスラムを否定することは、家族全体への裏切りと見なされる。改宗を疑われるだけで、自宅軟禁、強制結婚、命の危険が伴う。
【祈りの課題】隠れている信徒が孤独ではないと知れるように。アル・シャバブの攻撃から守られるように。子どもに信仰を伝えようとする親たちに、知恵が与えられるように。

3.イエメン

内戦により、異なる勢力が支配する地域に分割されているが、彼らはいずれもイスラム法を支持し、信教の自由を認めていない。救援物資も、イスラム教徒以外への配布は少ない。信徒は拘留、拷問、虐待、殺害の可能性がある。フーシ派支配地域では、聖書所持も危険。改宗は裏切りであり、コミュニティーにより、勘当、相続権剥奪、離婚、親権剥奪、追放、さらには殺害の可能性がある。ハマスによるイスラエル攻撃以降、過激化が進み、数十の家の教会が集会を行えなくなった。
【祈りの課題】地下教会が繁栄し、信徒が塩と光として生きられるように。

4.リビア

信徒は、家族や地域社会から信仰放棄を迫られる。外国人信徒も、特にサハラ以南のアフリカ出身者は、イスラム過激派や犯罪集団の標的となり、誘拐、時に殺害される。信仰を公にしたり、証ししたりすることは危険である。過激派が検問所を設けている地域への旅行は避けている。昨年は、外国人信徒を含む数人が逮捕された。国外移住を企図した信徒が拘留されることも多い。中には人身売買される者もいる。
【祈りの課題】支配権争いから内戦に発展しないように。過激派グループから守られるように。孤立している信徒がつながれるように。

5.スーダン

1年半の内戦を経て、世界最大の難民危機と飢餓危機に見舞われている。100以上の教会が被害を受け、信徒は誘拐され殺害されている。家族や地域社会から厳しい反発に直面している信者は、自分の子どもにさえ信仰を秘密にする傾向がある。救援物資の支給も受けられない。過激派により、教会、信徒の個人宅が占拠された。治安の悪化で信徒はさらに標的にされている。
【祈りの課題】戦争中も弱者に奉仕し続けている信徒たちが守られるように。難民となっている信徒たちを神が助けてくださるように。

6.エリトリア

政府はエリトリア正教会(EOC)、カトリック教会、ルーテル教会、イスラム教のみを公認している。プロテスタントへの改宗は、ひどい虐待の恐れがある。政府とEOC両方から迫害される。政府の治安部隊は長年、何百人もの信者を逮捕してきた。電話やネットは常に監視され、無期限の拘留、無期限の兵役の危険性がある。一部の信者は国外逃亡を余儀なくされている。
【祈りの課題】投獄された信者たちが希望を失わないよう、直ちに釈放されるように。強制的に兵役を強いられている信者のために。彼らの家族のために。

7.ナイジェリア

イスラム過激派による攻撃が激化している。被害はイスラム教徒が多数を占める北部の州から、今では南部にまで広がり続けている。男性は殺害され、女性は誘拐され性的暴力の標的になる。殺害件数は世界一多い。生計手段も破壊され、千620万人以上の信者が難民となっている。信者は二級市民として差別される。改宗者は家族から拒絶され、殺害を恐れて家から逃げることもよくある。
【祈りの課題】家族が殺害、誘拐された信徒のために。神が国の指導者たちの心に働きかけ、信者が守られるように。難民となっている信者のために。

8.パキスタン

悪名高い「冒涜法」の告発のおよそ4分の1は、人口のわずか1・8%に過ぎないキリスト教徒である。冒涜法は死刑を伴う。誘拐、虐待、強制改宗させられるキリスト教徒の少女の数は増加している。信徒は、制度化された差別で、社会的に卑しいとされる職業に追い込まれる。イスラムからの改宗者は、家族や地域社会から裏切り者とされ、過激派からは、背教とみなされ、迫害の標的とされている。
【祈りの課題】「冒涜法」が改正されるように。信徒が、二級市民ではないことを自覚するように。特に女性信徒が、強制結婚から守られるように。

9.イラン

アルメニアのキリスト教徒など、歴史的な教会、信徒は、憲法で公認され、国家の保護を受けるものの、二級市民として扱われ、差別的な法規制もある。ペルシャ語での礼拝はできず、キリスト教改宗者との交流、支援は投獄の可能性がある。イスラムからの改宗者は認められず、宗教の自由が厳しく侵害されている。キリスト教団体の指導者と一般メンバーの両方が「国家安全保障に対する罪」で逮捕、起訴され、長期の懲役刑を言い渡されることが多い。
【祈りの課題】地下信者が守られるように。キリスト教徒の囚人、またその家族のために。福音が伝えられるように。

10.アフガニスタン

この国の信徒は、ほとんどがイスラムからの改宗者。イスラム教を離れることは家族や地域社会にとって恥ずべきことであり、殺害されることもある。イスラム法では改宗は死刑。タリバンは依然として支配権を握り、国中で広範囲に宗教的権威を行使し続けている。改宗者は、政府からも家族からも逃亡するしかない。女性や少数民族はさらなる抑圧を受けている。家の教会は、地下深くに潜伏している。
【祈りの課題】地下信者が守られるように。タリバンに神が触れてくださるように。難民となっている信徒のために。

11.インド

ヒンズー過激派は、インド人はヒンズー教徒であるべきと考え、他のいかなる信仰も容認しない。当局がヒンズー教強硬派である地域では、暴力的な攻撃と、それを実行する人々の免責につながっている。家の教会、その信徒は、過激派暴徒の攻撃を受ける危険がある。教会の指導者も過激派や暴徒の標的になっている。12の州では改宗禁止法が可決している。「指定部族」に分類される部族キリスト教徒に対する迫害も増加している。
【祈りの課題】マニプール州の信者が、「指定部族」暴動から回復できるように。改宗禁止法のもとで不当に告発されている教会指導者たちのために。

12.サウジアラビア

イスラム教からの改宗は、違法であるだけでなく、家族に恥をかかせることとして、社会的に最悪の行為とされる。そのため、家族や地域社会からの圧力は激しく、地方ではさらに顕著である。信者は秘密裏に信仰を守り、配偶者や子どもにさえ告げないこともある。外国人も、地元の人と信仰を共有することを禁じられており、違反すると、拘留され、国外追放の可能性がある。大都市では一部他宗教への寛容さが見られるものの、依然、宗教的少数派は差別されている。
【祈りの課題】信者が礼拝し、主の知識を深める場所を見つけられるように。密かに集まる移民の信徒のために。福音が伝わるように。

13.ミャンマー

紛争が激化して5年、停戦は見えない。そして暴力は、キリスト教徒少数派に壊滅的な影響を与えている。信者は殺害され、教会は無差別に攻撃されている。多くの信者が国内難民になっている。ジャングルに逃げざるを得ない場合もあり、そこでは食料や医療へのアクセスが奪われる。政府軍はキリスト教徒の村や教会を不当に攻撃し、援助活動家や牧師を殺害している。改宗者は、仏教、イスラム教の家族やコミュニティーから迫害を受けている。
【祈りの課題】クーデターの長期的な影響に耐え、信者が、平和の使者となるように。軍の指導者たちが、イエスの平和と喜びを理解できるように。

2025年02月09・16日号 09面掲載記事)