第17回:宣教活動と社会貢献活動

河野 優 石神井福音教会協力教師 前日本同盟基督教団法人事務主事

その「信仰的な意味」を説明できるように

近年、教会では様々な活動がなされている。子ども食堂、オープンカフェ(地域交流、介護、居場所づくりなど)、放課後児童クラブ、防災対策・災害時の支援活動など、いわゆる福祉にかかわるようなものが多いように思う。それらの活動は信仰に基づき、地域の必要に応えるため、地域交流の拠点としてつながりを持つため、地域に仕えるためなどを目的とした「宣教活動」としてなされていると思われるが、より一般的な表現では「宗教活動」と言われる。

しかし、特に宗教とのかかわりを持たない、あるいは関心のない人々は、先に挙げたような諸活動を必ずしも「宗教活動」とは考えないように思う。それは宗教活動というよりは、宗教団体が行う「社会貢献活動」である。この社会貢献活動は、教会以外にも一般的に様々な団体が行っているものでもある。

この「社会貢献活動」は、教会事務から考えると「くせ者」である。例えば宗教法人が所有する敷地に地域のための防災倉庫を設置したら、それは不特定多数のための使用であることなどを理由に、その部分だけ固定資産税が課税されるという事例がいくつかあったという。宗教団体の活動の対象は、おしなべて「すべての人々」であるがゆえに、その活動は対象となる人々のニーズにこたえるべく広がっていくことは自然なことであろう。しかし、それは事務的にみると「宗教活動に該当しない」と判断され、課税などの負担が課されることもあり、見過ごすことはできない。

このような現状を踏まえ、2021年1月25日付で文化庁宗務課が事務連絡「宗教法人が行う社会貢献活動について(情報提供)」を発した。それを受け、日本宗教連盟は同年2月2日付で前記事務連絡の「周知と論点整理(ガイドライン)」を発表し、宗教法人がどのようにこの課題を考え、対応すべきかの指針を示した。参考になると思うので概要を紹介するとともに、この課題を考えてみたい。(詳細は日本宗教連盟のホームページで確認できるので、ぜひ参照いただきたい)

文化庁の見解の概要は、国などは宗教法人の宗教上の特性や慣習にかかわる事項を尊重し干渉しないことが求められていることを前提に、いわゆる社会貢献活動が宗教活動なのか否かなどについての判断は当該宗教法人に委ねられており、その判断によって宗教活動と整理することも可能であるというものであった。

日本宗教連盟によるガイドラインでは、おもに三つのことが提示されている。それは①社会通念を踏まえつつ信徒・一般の人々双方がその社会貢献活動は宗教活動の一環としてなされていると明確に理解できること、②その活動が宗教活動である根拠を明確に説明できること、③活動状況などの公開など社会に対する説明責任を果たすこと、である。また、注意すべき点として、社会貢献活動の主体がNPOなど他団体のものは宗教活動と整理することは適当ではないこと、宗教法人法(第84条、第85条)の趣旨から、国や行政機関は宗教活動かどうか「判断できない」(する・しないではない)ことなどが挙げられている。

私たち教会は、法令による規定や行政の方針にかかわらず、自らの活動について明確な考えをもち、それを表明しておく必要がある。現実問題として固定資産税など境内地の理解にかかわるような行政手続きなどで説明を求められた場合に、聖書的・信仰的に、かつ一般の方々にもわかる言葉で語ることができているだろうか。この世における社会貢献活動と一見同じような教会の多様な宣教活動について、その固有の意味や目的、信仰的な動機などを教会全体で意識的に区別して自覚することは、教会事務を主の前にふさわしく整えることにつながっていく。

《連載》教会実務を考える