櫻井氏「命令下れば何でも実行に危険感じた」

神社仏閣に油のような液体がまかれた事件で、アメリカ在住の医師で、都内に拠点があるIMM(インターナショナル・マーケットプレイス・ミニストリー)創設者のクリスチャンK氏の関与が濃厚であることを受け、キリスト教カルト化被害者支援ネットワークは「神社仏閣油事件と背景」を主題に、報道機関向けの説明会を6月5日、東京・千代田区神田駿河台のお茶の水クリスチャン・センターで開いた。当日は宗教トラブル相談センター代表の村上密(アッセンブリー京都教会牧師)、半年間IMMで事務をしていたというキリスト教カルト化被害者支援ネットワーク事務局の櫻井寿子、クリスチャン新聞編集顧問の根田祥一、日本キリスト教異端相談所所長の張清益の各氏が説明会に臨んだ。 【中田 朗】
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村上氏は「キリスト教の極端なグループの可能性があるとして、IMMではと当たりをつけて確認作業をしたところ、確かに油をまいていることが分かった」と語る。
村上氏は、K氏が講演で、自身が油をまいた所の写真を映像で映しながら話をしている動画を入手。「映像は12年、13年に語られたもの。映像を見るとかなりの場所でまいていたことが分かる。この情報を京都の南署、福岡の博多署に提供し、捜査に協力した」 K氏の行動の背後にサブリーナという存在がある点も指摘した。「アメリカ人で、K氏は預言者と言っている」。またIMMの会員や、セミナーや聖会に参加して刺激を受けた人が油をまいた可能性も指摘した。
櫻井氏は、「中にいると情報が制御され、一方的な情報しか入って来ない。外からの情報が閉ざされた状態だった。ゴシップ禁止という言葉を使い、反対意見をシャットアウトする体質ができていた。反対意見が来ると『それはゴシップ。敵がまいたうそ。スパイの仕業です』という言葉で収めてしまう。問題が絶えず起き、それを治めるために問題を告げていたら『さばくな』と跳ね返されて、治めることをしなかった」と話す。 「幹部たちがマインドコントロールされ、命令が下れば何でも実行してしまうところが見え、危険を感じてそこを出た。今回、人命に関わる事件でなかったことにホッとしている」と語った。
張氏は、K氏が所属していた韓国の宣教団体インターコープとの関連性を指摘。「過激な宣教方式で、韓国教会内でも問題視され、様々な国々でのトラブルが後を絶たない。そういう団体だと申し上げたい」と述べた。
根田氏は、「発足から1年ほどするうちに、どうもIMMはおかしい、過激であるという噂が立ち始め、クリスチャン新聞にもK氏と直接接触した方々から『彼は非常に危険。気をつけたほうがいい』という情報が寄せられていた」と言う。
その中で、「IMMに賛同する団体は神に用いられ、反対する団体は祝福を失うだろう」という発言があった点を指摘。「これはカルト化した宗教団体や人物がよく言う論法。K自身の個人的霊的体験のみに依拠して教えがされている点、K氏がIMMに関わった人に100%の献身と従順を求めている点、従来の教会やクリスチャンはダメで自分たちだけがすばらしいといった言い方をする点も、カルト化した教祖的人物に共通の特徴だ」と述べた。
一般のキリスト教への影響について張氏は、「オウム真理教の事件以降、宗教は怖いと思っている日本人が多い中、村上先生が警察に通報し、キリスト教の恥部を隠さず、むしろ一般の教会はそういうものではないという立場をはっきり表明した」ことを評価した。
村上氏は、「キリスト者の中からこうした極端なグループが出、迷惑をかけたことに非常な責任を感じる。今回は未然に防げなかったが、当たりをつけることができた。今後も事が起こる前に、また起こったら早い段階で出来事を把握し、警察に通報できるよう努めていきたい」と語った。
