WEA新総主事広島・長崎訪問 福音に照らし核を問う

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写真=左からスティーブンソン氏、テンデロ氏、品川謙一氏(日本福音同盟総主事)。核兵器廃絶シンポジウム会場で。

今年、世界福音同盟総主事に就任した、エフライム・テンデロ氏は、同核兵器問題対策チーム(URLwww.worldevangelicals.org/gtfnw/)リーダーのタイラー・スティーブンソン氏とともに、被爆70年を迎えた広島、長崎を訪問し、記念の諸集会やシンポジウムなどに参加した。2人に話を聞いた。

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今回、広島、長崎訪問にいたった動機を教えてください。

テンデロ氏(以下T)すでに2回広島、長崎に来ているスティーブンソン氏から、世界の福音派のリーダーとして、ここで何が起きたのか、ぜひ肌で感じてほしいと強い勧めがありました。実際に来て、広島、長崎の被爆の現実と人々の思いを感じ、核兵器の非人道性がよくわかりました。来て、感じることが大事です。次の人に確信をもって伝えられるからです。

スティーブンソン氏(以下S)WEAは核兵器問題に関する立場をまだ明確にしてはいませんが、常に意識し、取り組んできました。テンデロ氏との来日は本格的な取り組みの出発点になるでしょう。核兵器問題では、①不拡散、②縮小、③廃絶、というプロセスが国際的な流れです。核抑止力の発想から解放されるには全廃しかありません。広島、長崎の証言は核廃絶に向けた大きな力になります。

核兵器廃絶シンポジウムでは、他宗教の方々とも積極的にコミュニケーションをとっていました。

T キリストの福音の中心は魂の救いですが、同時に救われた者がその福音をどう生きるかを含んでいます。平和をつくり、人々がよりよく生きる人生の質(Q.O.L.)の向上に貢献する責任があります。核兵器のように人類全体の課題に取り組むには他宗教との連携も必要です。彼らと関わることで、福音の内容を薄めたり、妥協したりすることにはなりません。むしろ、キリスト者はこういう人間なのだと明確にできます。私はフィリピンで、地域紛争解決や貧困対策のために他宗教と連携した働きを主導してきました。私たちキリスト者は地の塩、世の光となる使命があるからです。

S 核兵器問題ではWCCなど主流派が先行していますが、福音派ならではの視点も表明します。全ての人は神に対して申し開きをしなければならない責任があります。核兵器こそ、偶像崇拝です。人間の造った兵器に、人々がひれ伏す状況があるからです。放射能被害は、神が創られたいのちの尊厳を脅かします。女性が子を産めなくなるなどの被害をもたらすからです。

 社会問題に関わるような活動は「世俗化」ではないか、と言われることもあります。しかし、これらには神の創造と贖罪の両方が関わります。人のいのちと尊厳を守り、キリストの十字架による真の和解と平和をもたらすことは、神が福音によって成し遂げようとしておられることです。私たち福音派キリスト者は自分たちが信じる福音を世界で表して行く必要があります。