「第20回横田早紀江さんを囲む拡大祈祷会」(横田早紀江さんを囲む祈り会、全国ブルーリボンの祈り会主催)が5月17日、東京・千代田区神田駿河台のお茶の水クリスチャン・センターで開かれた。6月12日に開催が予定されていたトランプ米大統領と金正恩朝鮮労働党委員長の会談では、拉致問題が取り上げられ全面解決へ向かうのではとの期待が高まる中での祈祷会で、早紀江さんはその思いを語っていたが、5月24日米ホワイトハウスは、米朝首脳会談の中止を発表した。
「この問題に関しては、いつも期待と不安の真ん中にいられるようにと、神様に願っております」。あいさつと証しで、拉致被害者横田めぐみさんの母、早紀江さんは複雑な心境を語った。
「北朝鮮問題が頂点に達している中で米朝会談がこれから持たれますが、国と国の心理作戦みたいな中でどのようになっていくのだろうと。いつも両方を見、胸を痛め、どこかで希望をもちながら、でもあんまり期待しすぎると大変な思いになる。喜びもあるかもしれないけれど、また何が起こるか分からない。なので、いつも真ん中にいます」

「5人の方々の帰国の日も帰ってきた時も同じだった。帰ってくるかもしれないし、すごい思いをさせられるかもしれない。考えられないような、ギスギスするような思いをいつも心に持ちながら、真実な神様と巡り会わせていただいた。『何が起こっても私がいる。私を信じなさい』と語りかける神様に、全身全霊お委ねし祈ってきたことで、言葉に言い表せない平安、恵みをいただきました」
「(めぐみがいなくなった)あの時、新潟の海で死んでしまったらどんなに楽だろうと思いながら、毎日海辺を走り回っていた自分が、今ここにいることが信じられない」と早紀江さん。「多くの宣教師の方、牧師先生、愛する姉妹方に助けられ、一緒に祈ってこられたのは本当に感謝なこと。大変な問題だから、これだけ長い時間かかかった。でも、きっと神様が何かをしてくださる時が来たのではないかと思います」と語った。
西岡力氏(北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会〔以下・救う会〕会長)は近況報告で「毎日しびれる思いでいる」と心情を明かした。「連休中、めぐみさんの弟の横田拓也さん、拉致被害者田口八重子さんの息子の飯塚耕一郎さん、与野党の国会議員の先生方5人、救う会副会長の島田洋一さんと私でワシントンを訪問し、かつてない手応えを感じた。トランプ大統領は議題に出すことが前提で、私たちは『すべての拉致被害者の即時一括帰国。これが叶わない限り、日本政府が制裁を緩めたり、北朝鮮を支援することには絶対反対です』と要求した。トランプ大統領の側近は『公の席、非公開の席でも、大統領が金正恩に会う目的はあなたがたの家族の話をするため』と言っていた。『できることは何でもやる』というところまで理解してもらうことに成功した」

「北朝鮮は広島型の16倍の核兵器を持ち、日本に届くミサイルも持っている。そういう嵐の中での拉致被害者全員帰国。嵐の中に出ていく船にイエス様もいてくださると信じ、人としてできる限りのことをし、一歩一歩進んでいきたい。引き続き祈ってほしい」と要請した。
國分広士氏(JECA・中野島キリスト教会牧師)は、詩篇103章8〜17節から「あわれみ深い神に祈ろう」と題してメッセージ。「神様は怒るのに遅く、恵み深い方。神様はすべての人に目を注いでおられる。その恵みは北朝鮮の2千万人の人たちにも、北朝鮮の指導者にも注がれている。その神様が最善をなしてくださるようにと願う。滋さんが元気なうちに、めぐみさんが戻ってきてほしい、神様どうぞ憐れんでくださいと、神様の恵みを求めていのりましょう」と語った。
その後、「北朝鮮による国家犯罪である『日本人拉致』が、今回の米朝首脳会談等によって完全解決への道に進むことができるように」など、6つの祈りの課題を、代表祈祷者3人が2つずつ覚えて祈り、続いて3人ずつに分かれて祈り合った。
【中田 朗】
