入管職員の医療怠慢、収容者強制送還に抗議 支援者への対応に人権侵害疑いも

 6月20日は世界難民の日。世界で難民が急増する中、日本では難民申請者への処遇の問題が起きている。難民支援をする牧師らの活動を追う。

面接活動行う西山氏、柚之原氏報告

 「入管収容者・仮放免者たちを覚えるズームコネクション」(日本福音同盟宣教委員会異文化宣教ネ ットワーク主催)が6月6日、オンラインで開催された。昨年から改正入管難民法の本格的な運用が始まったが、そんな中、入管で発生した出来事を、名古屋入管(愛知県)の被収容者の面会を続ける入管面会活動「フレンズ」の西山誠子氏と、大村入管(長崎県)の被収容者や仮放免者などの面会活動を行う柚之原寛史氏(長崎インターナショナル教会牧師)が報告した。
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 西山氏は、5月に名古屋入管の事例を説明。「14日夜8時半頃、入管に収容されているAさんから電話がかかり、『長いことおしっこが出ていない』と助けを求めてきた。それで、私のほうから救急車の出動要請をした」
 「だが、9時10分にはAさんから『誰も来ない』と電話が入った。私から119番に連絡したところ、『救急車は入管に到着しており、職員と交渉中』とのこと。以後、Aさんとは連絡が途絶えた。翌朝、面会に。Aさんは『看護師が来て、おしっこを出してくれた』。一方、入管職員は、『すでに看護師を呼ぶ準備をしていたので、救急車には帰ってもらった』と回答。救急車を呼んだので、入管が看護師を呼ぶよう動いたと、私は見ている」
 「5日後、面会に行ったら、Aさんは名古屋入管にはいなかった。別の面会支援関係者の情報では牛久にも品川にもいないようで、強制送還されたらしい」
 西山氏は、「入管職員は医療措置を怠るなどの人権侵害の疑いがある。抗議文を出し、広くメディアに報道してもらおうと思っている」と語った。
 大村入管で活動する柚之原氏は、「収容者側だけでなく支援者に対しても、入管の処遇体制が厳しくなっている。5月13日に、Bさんの面会に行った時、私たち支援者側のすぐ後ろのドアの鍵を閉めるようになった。これは長年、面会活動してきて初めての経験だ。入管側には意見書を書いて提出した」と語った。(詳細はオンラインで)