戦後80年特別連載 教会の土台を〝共に〟考える②
戦後80年となる。世代交代が進み、戦中、揺さぶられた教会の歴史を考える機会が減っているかもしれない。本連載では、日本キリスト教史を専門とする山口氏が戦中の教会を考える上での重要テーマを解説し、次世代のクリスチャンが応答する。連載第二回目（毎月１回掲載します）
前回
戦後80年となる。世代交代が進み、戦中、揺さぶられた教会の歴史を考える機会が減っているかもしれない。本連載では、日本キリスト教史を専門とする山口氏が戦中の教会を…
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②国体との協調 ～三教会同～
山口陽一 東京基督教大学特任教授
近代日本のキリスト教は、時代の趨勢（すうせい）として、またキリシタン国害論を払拭するためにも「報国」のキリスト教をめざした。とはいえ、初期の入信者たちが迫害されることはあたり前、偶像礼拝拒否や安息日厳守などの姿勢も厳格で、日本社会との衝突は激しかった。牧師たちは旧佐幕派の士族であり、薩長の藩閥政治に唯々諾々とは従わない気概も持っていた。
しかし、大日本帝国憲法、教育勅語により天皇制国体の形成が方向づけられる。すると内村鑑三不敬事件から「教育と宗教の衝突」論争、日清戦争、文部省訓令十二号によるキリスト教教育の禁止、日露戦争などを経て、日本の教会は国体との衝突を避け、融和を心がけるようになる・・・
応答 「時流」に抗うのは不可能ではない 川口葉子（立教大学兼任講師）
国体との衝突を避け、国家に認められることを求めた当時のキリスト教会の姿に、教会としてのアイデンティティーの欠如があったように感じます。「天皇制国体の形成が方向づけ」られていくなかで、教会も国家の一員としての意識を強くしたのでしょう。
山口先生の文章を読みながら、キリスト教のうちに権威主義的な面があることを考えていました・・・
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