鋭い感覚で制作された確かな手触りと品質 視覚障害者総合施設「東京光の家」のグッズ

写真=手すきのポストカード

手すきならではのほっこりした質感のカードに、小さなイラストと聖書のことばが書かれている。東京都日野市にある、視覚障害者を中心とした福祉総合施設「東京光の家」では利用者が紙製品をはじめ、様々なグッズを制作し、好評だ。

利用者が制作する作品・製品は陶芸、布製品、木工品など多種にわたるが「東京光の家はもともと点字聖書の出版からはじまった働き。紙制品や出版は大事な分野」と石渡健太郎理事長は言う。


内村鑑三の無教会の流れをくむ視覚障害者の秋元梅吉が創設者。1919年に「日本の盲人に聖書を」を使命に始めた「盲人基督信仰会」が「東京光の家」の源流だ。23年には当時世界で二番目となる点字旧約聖書を完成させたほか、様々な点字出版に携わり、その事業は現在も続く。


手すきのほか、弱視や高齢者にも使いやすい「VISUAL EASE」(東京光の家の登録商標)のノート、メモ帳、ファイルなどの製本もしている。
視覚に頼れない分、他の感覚が鋭い。石渡さんは「ある人は、耳元で紙をパーとめくるだけで枚数が分かる。紙の裁断や角合わせも触覚が重要な役割を果たす。視覚障害にとって『さわる』は『みる』に近い。陶芸も粘土によって形を学習する役割がある」と言う。利用者は「手探りの作品展」など福祉と結びついた「アールブリュット」と言われる美術展に作品を出品している。

写真=緑地を目の前にしたカフェ・カナンは人気スポット

味覚も鋭い。各施設での食事に力が入っているほか、就労と地域交流の場となっているカフェ・カナンが好評だ。緑地に面し、店内は広々とし、地域の家族連れ、高齢者、ママ友たちが集まる場となっている。
光の家の製品やお菓子は、光の家事務所、販売店アガベ、カフェ・カナンで購入できるほか、一部は光の家栄光園のオンラインカタログやオンラインマーケットminneでも販売している。
音楽活動も盛んで、「光バンド」はプロの指導を受けて、国内外で活躍している。東京オリンピックの聖火リレー関連のイベントで演奏する予定だったが、動画での配信となった。日野市のホームページで紹介される。詳しくは東京光の家ホームページからhttps://www.hikarinoie.org/【高橋良知】