視覚障害者特集 バリアと教会 皆で歩み寄る

IT技術の進歩により、社会の障害を乗り越えるツールも数多くなってきた。文字の読み上げ機能や、信号機の色を知らせるスマホアプリなどが、視覚障害者の生活に役立てられてきた。一方で、インターネットでのアカウント登録を要したり、タッチパネル方式の端末の操作を要したりなど、IT技術が新たなバリアを生み出すこともある。
全盲の青山しのぶさんに、現状や課題を聞いた。青山さんは、JECA・横浜緑園キリスト教会員で、福祉施設の職員。神奈川県内の視覚障害者による信徒会「神奈川視覚障害友愛信徒会」会長。日本盲人キリスト教伝道協議会(盲伝)で伝道委員も務める。

尊重し合う対話で バリアに窓が開く

福祉施設ではどんなお働きをされていますか。

相談・訓練をしています。視覚障害者のうち、子どもの頃から見えない・見えにくい方は、全体の10%台。ほとんどの方は、50代以上になってからです。急に見えなくなったら大変ですよね。ご本人やご家族からの相談を受け、外出の方法や、スマホなどのツールの利用法などを訓練しています。

視覚障害者の自立のために、相談・訓練で大切なことはなんですか。

自立という言葉の定義を共有することです。私が考える「自立」とは、自分で何でもできる、ということではなくて、自己決定力があるということ。何が自分でできるのか。できないとき、どんな助けがあれば満足できるのか。それを自分で決められることです。
「教会に行きたいけれど、一人で歩くのは難しいので、一緒に行ってくれる人がいないだろうか。どうすれば見つけられるだろうか」と考え、情報を得て決められる力、援助を求めることができる力が「自立」だと考えています。周りの人も、自己決定力のある人に対しては、過度の負担なく支援ができるんです。
技術の進歩で、かえって不便になったことがありませんか。
私たちが一番ショックを受けるのは、以前は自分でできていたことができなくなることです。負の感情が強くなります。何も進んでいない、と感じてしまいます・・・