【連載】私の牧会ストーリー③ セルフケアとしての祈りの修練 松本雅弘

前回

【連載】私の牧会ストーリー② 偉大な戦い 松本雅弘
松本雅弘 クリスチャン・ライフ成長研究会主事カンバーランド長老教会あさひ教会協力牧師  「親切であれ。あなたが出会う人はみな偉大な戦いをしているのだから」(アレ…
xn--pckuay0l6a7c1910dfvzb.com

 なぜこんなに忙しい?

 牧会伝道の働きに携わりながら、〈なぜこんなにも忙しく走り回っているのだろうか〉と思うことが幾度もありました。『リーダーシップのダークサイド』(G・L・マッキントッシュ、S・D・ライマ共著)と出合ったのはその頃でした。「どのリーダーもある程度の人格的機能不全を患っている」と書かれていて、読み飛ばすことのできないことばとして心に響いたことを覚えています。
 実際、何人かの牧師が突然、牧会を退かなければならない姿を目の当たりにしました。このままだと何かの拍子につまずきかねないのでは、との漠然とした不安を感じたものです。こんなにも必死になって牧会伝道の働きを進めているのは、自分の内なる虚しさを埋めるための「隠された動機」に操られているだけなのではないだろうか、と自らの内面をふり返る経験をしました。


 私たちは誰もが心の奥底に神への深い憧れと共に、喜ぶ者と共に喜び、泣く者と共に泣ける人になりたい、神を愛し、隣人を愛する生活を送りたい、という願いを持ちながら生活していることでしょう。しかし現実は、身近にいる家族すらも愛することに困難を覚える自らを発見します。「受けるよりも与えるほうが幸いである」(使徒20・35)という御言葉を知りつつも、それとは逆の「物語」が牧会伝道の現場で、人生の大事な局面で、心の中で動き出す経験をしてきました。


 牧師ですから「正解」はわかっているつもりです。しかし・・・

(次ページで「小さな声を聞く意志」「自分自身の牧会」など)