熊本震災1か月目の礼拝 回復の「時」を待つ

熊本地震の災害発生から1か月が過ぎた5月15日は、被災した各地域の教会で日曜礼拝が開催された。教会堂は被害をうけたり、避難所、支援拠点となっているなど通常と異なる状況。礼拝場所を変えて実施したところもあった。熊本のいくつかの教会に、15日の礼拝で語られたメッセージ、現状と今後の祈りの課題を合わせて聞いた(各内容は5月19日までの情報)。【高橋良知】

 

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写真=熊本ハーベストチャーチは体育館を会場にして、支援ボランティアらと礼拝した。写真提供=中村陽一

震災後、九州キリスト教災害支援センター(九キ災)熊本支部となった熊本市のトータル・熊本ハーベストチャーチ(中村陽志牧師)は、震災後2回までは同会堂で礼拝をしていたが、会堂が「要注意」判定を受け、熊本YMCAの施設みなみYMCA体育館を借りて礼拝をしている。牧師、信徒も自宅の被害があるが、信徒はおおむね集まった。震災直後の4月16日は、同教会設立14周年記念礼拝を予定していたが実施できなかった。当日配る予定だった「20
20年ビジョン」についてまとめたカードを1か月後の5月15日に配った。メッセージの題はマルコ4章から「さらに向こう岸に渡ろう」。嵐で弟子たちがパニックになる中、イエスは波を鎮め、目的地としていた「向こう岸」にたどり着き、1人のゲラサ人を救った。「教会という船は、どんな嵐でも、
目的の岸まで沈まない。私たちの向こう岸には2020年のビジョンがある。みんなで渡ろう」と励ました。

永井氏

写真=グローリー周辺。背後の山が崩れている。写真提供=永井一匡
阿蘇市のゴスペルホーム・グローリー(渡辺雄一・さつき牧師)は、会堂は耐震構造で倒壊しなかった。5月の連休後には九キ災の拠点となり、国内外の20人以上が宿泊した。「地域で神の栄光を表せるようにこだわった会堂が用いられた」とさつきさんは感謝した。それでも水道管損傷、家財の損傷の被害があり、会堂は震災後2週間は使えなかった。15日の礼拝は支援物資に囲まれながら支援者とともに礼拝。今も道路事情のため来られない人もいる。一般の支援もほとんどない。九キ災のボランティアが、倒壊した近隣の家の片付けなどに継続して関わり感謝されている。さつきさんは「技術のある人や長期のボランティアが必要。言葉ではなく行動で愛を示せる人が証しになる」と強調した。

 

回復の「時」を待つ

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写真=健軍教会では会堂での避難者、避難「卒業」者とともに礼拝。写真提供=小泉基

熊本市の日本福音ルーテル・健軍教会(小泉基牧師)は、震災後礼拝堂を避難所として開放しており、15日の礼拝には、信徒、避難所の人、避難所を「卒業」した人が集った。県外にいた信徒もだんだんと戻っている。けがで入院した人もいる。説教題は使徒2章1〜21、ヨハネ16章4b〜11節から「悲しみで満たされているが希望がある」。聖霊降臨記念の内容だった。「イエスが昇天し、弟子達は不安の中に残されたが、時が満ちると、聖霊を受けて再び歩み出した。震災後1か月がすぎ、避難者の中でも、被害の程度の違い、住む場所が決まるかどうかなど、格差が生まれてきている。また、今まで目一杯頑張ってきて、疲れもたまり、がんばることがしんどくなる時期でもある。人によってあゆんでいくテンポは異なるので、あせる気持ちも出てくるが、神さまはそれぞれに必要な時を与えて下さるので、信頼して時を待ち、ともに歩んでいこう」と勧めた。

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写真=熊本東聖書キリスト教会では、仮会堂を借りて礼拝。写真提供=熊本東聖書キリスト教会
上益城郡益城町のバイブル・プロテスタント・熊本東聖書キリスト教会(豊世武士牧師)は会堂が全壊し、以前から協力関係にあった単立・熊本北聖書キリスト教会で合同礼拝をしていたが、熊本市東区にある信徒のオフィスを日曜だけ借りて仮会堂とし礼拝できるようになった。豊世牧師も熊本市内に新住居を得た。15日の礼拝には、ほとんどの信徒が出席できた。避難所に住む人はいないものの各住宅の損傷などがある。豊世牧師はルカ24章44〜53節から「キリストの伝道計画」と題して説教した。全国からの支援に感謝し、今後の会堂のこと、伝道のことについて話し合うことを勧めた。教会が支援拠点としていろんな人に知られていることを踏まえ、「希望を持って祈ろう」と語った。

5:15 礼拝後のロッキー&マーラーさんの教会チームによるキッズプログラム

写真=木山キリスト教会では、賛美グループ、ロッキー&マーラーさんが礼拝と子どもプログラムで支援。写真提供=チョウ・シミ

益城町の単立・木山キリスト教会(小田眞由美牧師)は、牧師宅が倒壊。信徒宅でも損傷がある。県外に避難していた人もほぼ戻っている。牧師は当分説教を休み、各地から支援に訪れた牧師らが礼拝説教をしている。15日の礼拝では、福岡県の日本イエス・福岡教会油山シャローム・チャペル牧師の横田法路牧師がマルコ4章から説教。「嵐の中でも平安であったイエスが希望。試練を通して、神の別の面、一層の素晴らしさが分かる」と話した。一人のゲラサ人のために湖を渡ったことから、「イエスは一人の人の救いのために力を注ぐ。私たちも救いのために用いられる」と述べた。また初代教会が、災害に向き合った例を挙げ、「クリスチャンは死で終わりではない。愛され愛する、愛のコミュニティーにおり、愛を分かち合える。イエス様が私の内におられ、力、可能性が教会に与えられている」と励ました。横田氏は九キ災代表として、震災後、木山キリスト教会が急きょ支援拠点となった経緯を同教会信徒に説明もした。
同教会に常駐し、支援コーディネーターを務めるチョウ・シミさんは「近隣の人々に支援を通したキリストの証しをすることと、被災した教会の癒しが同時に課題。私たち支援者はやがて教会が回復し、ビジョンに歩むまでの後方支援。まず癒しが必要」と語った。