バプテスマが大きな喜び しかし停戦会談不調に疲労感 ウクライナ船越宣教師レポート

5月16日にイスタンブールで行われたウクライナ・ロシアの代表団による停戦協議は決裂、その後のロシア・プーチン大統領と米国トランプ大統領の電話会談もなされた。在ウクライナの船越真人宣教師が、その思いと、この期間の教会の働きについて、5月21日、レポートを寄せた。

 

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今月もウクライナをめぐる情勢は大きく動きました。そしてウクライナは今も非常に厳しい立場に置かれています。4~5月の一連の動きで改めて明らかになったことは、ロシアは戦争をやめる気がまったくないということでした。

「全面侵攻開始以来最大規模の空爆」というニュースを何度も見ることになるほど、ロシアによる容赦のないミサイル、ドローン攻撃がウクライナ全土で続いています。

欧米の圧力によって「30日停戦」のための交渉が行われようとしましたが、ロシア側は、交渉するためには「一切の前提を設けないで」ということを条件としました。

しかし、その意味するところは「ロシアがすでに併合を宣言したウクライナ四州とクリミアをロシアの領有であることを前提とすること」「ウクライナはNATOに加盟しないことを約束すること」などが「前提」となっており、ウクライナがとても受け入れることができないものです。

5月16日にイスタンブールで行われたウクライナ・ロシアの代表団による協議の場で、ロシア側代表のメジンスキー氏はウクライナ代表団に対して「ロシアはどれだけ長くても戦う用意があるが、ウクライナはどれくらい戦い続ける覚悟があるのか」「今すぐに四州からウクライナ軍を撤退させなければ、失うのは四州ではなく六州になるぞ」などと発言(恫喝<どうかつ>)し、交渉は決裂しました。

その後に行われたトランプ・プーチン電話会談においてもプーチン氏は「30日停戦」を拒否、それに対してトランプ大統領は「それなら、アメリカは停戦交渉の仲介から手を引くかもしれない」と発言し、それが何を意味するのか、ウクライナは最悪の事態になることも視野に入れつつ、固唾を飲んで状況の行方を見守っています。

そのような中で、4年目となるこの戦争状態の中、人々の疲労感、焦燥感、閉塞感、絶望感はピークに達しつつあることをいろいろな場面で感じるようになっています。
主がこの地に正義と平和をもたらしてくださることを切に待ち望んでいます。ウクライナを覚え続け、祈り続け、支え続けてくださっているみなさまに本当に心から感謝をしています。

5月18日(日)バプテスマ式を行うことができ(写真)、二人の女性(リュバ、エレーナ)がバプテスマを受けました。今回バプテスマを受けた二人はともに第二次世界大戦開始の前に生まれました。

ソ連が2000万人以上の犠牲を出した戦争を幼少期に体験し(エレーナさんは戦争でお父さんを亡くされました)、1991年にはソ連の崩壊を体験し、新たに祖国となったウクライナが今は全面侵攻を受けて国家存亡の危機にある中、HOPEオデッサを通して私たちの教会に導かれました。
二人は礼拝に毎週集い、聖書学びグループにも参加し、明確な信仰告白をもってバプテスマを受けました。それは私たちにとって本当に大きな喜びでした。

その他にも信仰告白はできているのですが、バプテスマを受ける決心には踏み出せないでいる人々も数名います。バプテスマを受ける人々が続けて起こされるようにお祈りください。

5月11日母の日礼拝を行いました。勇貴がメッセージをし、用いられました。
多くの母親たちが息子たちを戦場に送り出しているこの状況の中で、お母さんたちの心が守られ、子どもたちが守られるように、また、今この戦時下で子育て真っ最中のお母さんたちの祝福を祈りました。

2023年から、市民団体「戦没兵士家族の会」とともに、戦争で息子・夫を失った女性たちを励ますイベントを行ってきました。この団体は2014年に始まったドンバス戦争で戦死した兵士の家族の会です。
今回、2022年から始まった全面侵攻で戦死した兵士たちの家族の会とも協力関係を持つことになり、その会に属する母親、妻たちを励ます活動をすることとなりました。
6月8日に第一回目を行います。この会が祝福され用いられるようにお祈りいただければ感謝です。

ウクライナでは6月1日は「子どもの日」で、今年はちょうど日曜日です。その日「神の子どもとされるために」というテーマでメッセージ(真人)を語ります。礼拝の後、子どもたちのためのイベントも計画しています。祝福をお祈りください。

引き続き、HOPEソルジャーズ(病院での負傷兵への訪問、前線の兵士たちへの支援の働き)、HOPEニコラエフ、HOPEヘルソンの働きが祝福され、用いられるようにお祈りください。(5月25日、ヘルソン教会オレグ牧師が私たちの教会で証しとメッセージをしてくれます。実は先週も彼らの車はヘルソン市内でドローン攻撃を受けました。想像を絶する危険の中で働きを続けているオレグ先生ご家族が守られるように、続けてお祈りください)

日曜礼拝では引き続き「福音とは何かシリーズ」を学んでいます。
水曜集会では5月の末まで「ダニエル書シリーズ(今回は6章までを学びます)」を続けています。夏の間(6~8月)の水曜集会では「ヨシュア記(勇貴が担当)」を学びます。

家内と私は6月20日から8月4日まで宣教報告のために日本に一時帰国します。日本での働きが祝福され、豊かに用いられるようにお祈りください。そして、オデッサ教会が守られ、さらに前進することができるように、続けてお祈りください。

愛するみなさまの上に、主の祝福が豊かにありますように、心から祈っています。

船越真人・美貴

 

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