【異端・カルト特集】カルト対策にあたる牧師の視点

記・齋藤篤(日本基督教団仙台宮城野教会牧師、同教団カルト問題連絡会世話人)

支配・被支配の構造は変わらず

 統一協会に対する今般の解散命令は、あくまで「宗教法人」としての統一協会に対する解散命令でした。統一協会が保有していた財産は清算され、宗教法人であったがゆえに得ていた、税制面の優遇などの特権は失われました。

 しかし、憲法でうたわれている「信教の自由」は、変わらず保障されています。実際に、統一協会という団体が、解散後も宗教活動を展開しています。また、統一協会解散後、清算を経た残余財産は、統一協会の関連団体とされている仏教系宗教法人へ移管されることが決定しており、統一協会が今後、その団体を自分たちの活動の場とすることが、大いに予想されます。

 つまり、統一協会自体の本質は何ら変わることなく、今後も被害に苦しむ信者や家族たちが現れるだろうということを、私たちは注視する必要があります。同時に、これまで被害を受け続けてきた方々に対するケアの課題が、決して終わったわけではないということも、私たちは深く受け止めなければなりません。

昨年9月、韓鶴子(ハン・ハクチャ)総裁が政治資金法違反、請託法違反などの容疑で逮捕されたことで、統一協会内部に動揺があると伝えられる(写真は異端・カルト110番記事より「現代宗教」提供)

 そして、これはなにも統一協会だけに限ったことではありません・・・

(次ページ[下部にログインボタン]で、指導者の在り方、自由を奪われた被害者と向き合う必要、)

指導者による「抑圧」によって、聖書を「悪用」して、信者に対して、有無も言わせないような「支配・被支配構造」をつくりあげる特徴を持つ、いわゆる「異端・カルト教団」の存在が後を絶ちません。既存の教会すらも、「カルト化」する危険性を、私たちは決して否定できませんし、そのような実例が報告されています。つまり、神の御国が訪れるその時まで、決して他人事にできない課題なのです。

 では、私たちが、異端・カルトにより傷ついた方々に対して、どのように向き合うことができるでしょうか。

東京・渋谷の世界平和統一家庭連合(統一協会)本部ビルは今年3月に解散命令が決定された後に閉鎖。現在は清算人による清算手続が進むが、「宗教法人」の表示はまだそのまま

自由を奪われた被害者と向き合う必要

 第一に、私たち自身が、教会が「健康であり続けるための営み」を忘れないということです。そのためには、つねに御言葉に聴き、神の抱く価値観を理解し、祈り、自分自身を整えるということは必須ですが、それでも独りよがりになってしまう可能性があります。そのうえで、日本異端・カルト対策キリスト者協議会(JECAC)監修の「教会健康度チェック」を、個人・教会が定期的に用いて、自己点検を行うことが有用であると言えるでしょう。少しでも疑問点が生じるならば、そのことを謙虚に受け止め、改善策を講じる必要があります。

 第二に、信仰者の「自由」は、神から与えられていることへの深い自覚を持つということです。特に、教会の門をたたく、いわゆる「カルト宗教被害者」は、「見せかけの神」によって自由が奪われてきましたから、そのような方々が「健全な自由」を求めておられるということを、私たちは意識する必要があります。ですから、ものを考える自由が剥奪され、痛みを抱えた方々に向き合うとき、教会が、牧師や信徒が異端・カルト教団と同じようなことを勧めたのでは、全く意味がありません。傷ついた心が、神によって解放され、自由にされていくプロセスを私たちが大切にしたときに、神が与えられる「喜び」が、援助者・被援助者の双方に共有されていくのを、私たちは実感することができるでしょう。

 私たちが「イエス・キリストの心」をもって、神の助けをいただきながら、被害者の方々にじっくりと向き合うことができますように。

こちらの記事もオススメです

【異端・カルト特集】解散命令後の現役信者と家族の心
記・全国統一協会被害者家族の会 自助グループ A(日本基督教団信徒) 信者を縛る恐怖の苦しみから解放を  今年3月4日、旧統一協会に対する解散命令が出されました…
xn--pckuay0l6a7c1910dfvzb.com
【異端・カルト特集】(参考資料)声明「統一協会の『精算手続』が始まるにあたって」要旨抜粋
声明「統一教会の『清算手続』が始まるにあたって」(要旨抜粋) 2026年3月7日 全国霊感商法対策弁護士連絡会  本年3月4日、東京高等裁判所は、統一教会(世界…
xn--pckuay0l6a7c1910dfvzb.com
【異端・カルト特集】統一協会「解散命令」を受けて 回復への課題と教会の使命
今年3月、東京高裁が統一協会(世界平和統一家庭連合)に対し宗教法人の解散命令を決定し波紋を呼んでいる。統一協会側は信教の自由の侵害だと反発し、その余波か「宗教迫…
xn--pckuay0l6a7c1910dfvzb.com

≪発行継続のための寄付のお願い≫

 4月19日号より用紙変更、全面カラーとなりました。長らくお願いしていた印刷所の新聞印刷事業終了に伴い、新たな印刷所にお願いし、費用が大幅に増加しました(新しい印刷ではモノクロ、カラーで値段は変わりません)。来年度には値上げせざるを得ない状況ですが、定期購読中、あるいは年内契約を開始された方の期間内の購読料と、単号の価格は年内据え置きといたします。

 より良い紙面の持続的発行のため、寄付を募ります。

ゆうちょ銀行〇一九店、当座0010387、イノチノコトバセンキョウダン。通信・備考欄に「クリスチャン新聞宛」と明記。

(まだ「クリスチャン新聞」の項目はないですが、いのちのことば社 クレジットカード献金振込もございます https://www.wlpm.or.jp/tanemaki/collect/