<書評>『神との友情』ジェームス・フーストン著

記・重田稔仁<書評><神との友情~あなたを変える祈り><神の友であることの幸い>
「あなたの人生の物語を聞かせてください」。本書の著者ジェームス・フーストン師と出会った人々が、彼との間に友情をはぐくんでいく過程で必ずと言って良いほど問い掛けられる質問である。彼が出会う人々に払う深い関心は、彼がその時その場所で共にいる相手に不思議な感動を与えずにはいられない。
またフーストン師のカウンセリングを受けた経験のある方ならば、会見途中で一度や二度ならず彼が独り言を言って、訪問者の存在を無視するかのように沈黙する場面に出会ったはずである。私もその一人であるが、何を師がつぶやいているのか、私は以前尋ねたことがある。すると師は一言「神に祈っていた」と答えた。何を祈っていたのだろうか。本書にその祈りの一端が記されている。
「主よ、私の目にこの方が、あなたの目に映るのと同じようにかけがえのない存在と映るように助けてください。あなたはこの方のために死に、またあなたは友として交わりを、永遠に続けたいと切望なさるほどに、この方を愛しておられます。(中略)あなたの臨在の中で、私が他者に親切で、相手の独自性を尊重し、共に人間であることの神秘に畏怖する者となれるよう助けてください!」(49ページ)
この祈りによってフーストン師は、彼と神との間で共有する愛の交わりに多くの人々を招き入れてこられた。そして彼は、招かれた人々が神との間に友情をはぐくめるように導いてこられた。
本書においてフーストン師は、人々が自分自身の方法で一方的に神に祈り求めることに対して、真の祈りとは神の性質そのものから生じるものであると聖書をひもとき、教会の歴史伝統に尋ねつつ、自らの体験を引き合いに出して語っている。彼が本書で説く祈りは、私たちが神の臨在を明確に意識するときも、神が私たちを離れ不在であるかのように感じるときも、私たちが神のまなざしのうちに絶えず生かされていることを確信させる神との友情そのものであることがわかる。
これは神との交わりにあずかるすべてのクリスチャンがいつの時代においても切望してきたことではなかろうか?
神の友であることの幸いを味わい知ることを求める方々にとって、本書は必読の書である。
(評・重田稔仁=カルバリー・バプテスト豊田キリスト教会牧師)
<いのちのことば社、B6判、本体2400円>