日本聖公会京都教区常置委員会(ミカエル藤原健久委員長)は、「京都事件」(同教区H元牧師による性暴力、および同教区による二次被害)について、謝罪文を5月24日に発表した。




同事件は、同教区元牧師Hが、1980年代の数年間にわたって複数の子どもに対しての性暴力事件と、2001年に被害者Aさんとその父が当時の同教区主教に訴え出て後の教区の対応に関するものだ。
2人の訴えに対して同教区は、当初H元牧師の退職を決定したが、その後撤回。H元牧師は教会牧師に復帰し、関連施設、教区、神学校等の役職を継続した。Aさんは、H元牧師に対して起こしたPTSD損害賠償請求裁判を起こし、05年最高裁においてAさんの勝訴で確定。だが後任の高地敬現教区主教は最高裁判決を不当とし「事実無根」とコメント。その後、別の被害者が名乗り出て、事実認識をしたが、謝罪などの対応はなく、今回、事件の確定から10年をへての謝罪となった。
同時に発表された「謝罪に添えて」では、14年5月に「京都教区・体質改善協議会」が開かれたことを報告する、今回の謝罪が被害者側代理人と常置委員会の合意のもとでの公表であり、高地主教の同意も得ていることを明記した。
同教区の責任追求を続けた「聖公会京都教区事件を糾す会」(堀江静三代表)も謝罪に合わせて「『聖公会京都教区事件を糾す会』から一言」を発表。被害者と父親、被害者代理人の鎌田雄輝司祭の「粘り強い願いから、京都教区の若い聖職者を動かし、このような謝罪文の形になって発表された」と背景を説明する。
謝罪本文では、謝罪とともに、「京都事件」の取り組みを最優先課題と位置づけ、再発防止に努める意志を示した。
「『聖公会京都教区事件を糾す会』から一言」では、「遅まきながら宗教教団として特に聖書を教える立場から、自らの過ちを率直に認め悔悟の念が強く表明されたことは大きな前進」と評価。残る問題に触れて完全解決を求めた。
