碓井真史(新潟青陵大学大学院教授/心理学者)
「ハルマゲドンを待ち望んで―米国政治を動かす〝福音派〟」。NHK・BSの「世界のドキュメンタリー」で放送された番組だ。アメリカの福音派は、トランプ大統領支持の中心層であり、政府と軍に強い影響力を持っている。牧師たちはテレビを通して、中東での戦争は神の預言の実現であり、「ハルマゲドンは近い」と国民に伝えている。彼らは信仰熱心だが、アメリカの分断を深めているとも見られている。
日本も今年は選挙の年だ。都議選が行われ、自民惨敗と報道されている。今月には参院選もある。私たちも為政者のために祈るべきだろう。だが同時に、アメリカ福音派の活動には違和感を覚える人も多いだろうし、政治に関わることに迷いもあるだろう。
日本でも、多くの宗教組織が政治とつながっている。創価学会と公明党はもちろん、立正佼成会や崇教真光なども保守系候補を支持してきた。統一協会も、選挙運動に協力してきたからこそ、政治家が彼らの集会に参加して挨拶などしてくれた。ギブ・アンド・テイクの関係だったろう。オウム真理教は、政治による改革を目指して立候補者を擁立したが、全員が落選したことで陰謀論に走り、そしてテロを計画する。
キリスト教では、憲法擁護・難民支援・死刑廃止など社会的正義に関する活動を盛んに行ってきた人々もいる。一方、福音派の中には政治的には無関心な人も少なくなかったろう。アメリカの福音派も、かつてはあまり投票に行かなかったという。それが、1970年ごろから様子が変わってくる。アメリカ社会の急激な変化に反発し、福音派内で政治運動が活発化し、共和党と連携していく。
政治的選択 妥協せず、しかし寛容に
私たちは、現実社会で生きている。経済にも政治にも関心を持ちたい。クリスチャンとしての社会的責任を果たしたい。しかし、政治的な選択は神の代理人として行なっているのではなく、市民の一人として行なっている自覚が必要だろう。自分が完全な善だと思い、集団内同一視が起これば、ゆがんだ道徳的確信が高まり、外の人間を悪だと感じる善悪二元論に陥っていく。
信仰的には妥協はできないが、寛容さを失えば、民主主義が破壊される。現代は、インターネットを通して多くの意見に触れられるはずなのだが、実際はSNSによって同じ意見ばかりに触れることが起きている。新聞もテレビニュースも見ずにスマホばかり見ていると、かえって態度は凝り固まる。
自分の信仰を守り、信念に基づき行動し投票したい。議論も大切だ。ただし、寛容さを失わず、高慢にならずに。
【リニューアルのご案内】
以下リニューアルのご案内です。電子版購読中の読者の方につきましては、2か月としていた移行のための無料期間を【3か月】(9月末まで)といたします。
リニューアル号2025年7月より
2025年7月より
電子版:速報・詳報記事を随時掲載
紙面ビューアー
※バックナンバー閲覧可能
紙版:月2回発行
■購読料
紙版(送料込)
月額1,226円(オンライン申込・限定クレジットカード支払いのみ)
6か月6,756円※本紙代が10%お得です
年額1.3512円※本紙代が10%お得です
電子版
月額900円(税込)
年額10,300円(税込) ※毎月払いより約5%お得です
紙・電子併読版(紙版の年額+2500円で電子版併読が可能です)
月額1,400円(税込)
年額16,000円(税込)※毎月払いより約5%お得です
■リニューアル記念購読キャンペーン(受付期間:7月1日~10月31日)
・キャンペーン期間中、新規年間購読(紙・併読、電子)の方には、柏木哲夫著『幸せのかたち』をもれなく贈呈(書籍はご入金確認後、発送は9月末以降を予定しています)。
・新聞の無料試読特典(紙版1か月、紙・電子併読1か月、電子版2か月)がございます。
■電子版購読済みの方
現在の購読プランを【3か月間】(※変更)の無料期間に自動移行させていただきます。
(無料期間:2025年7月1日~【9月30日】(※変更)まで)
大変お手数ではございますが、決済方法の変更のため、
無料期間のうちに下記の新ご注文受付サイトより、
ご希望のプランの再注文手続きを頂けますようお願い申し上げます。
※無料期間中のご注文の場合、最初の課金日は無料期間終了後の10月1日になります。
※無料期間中のプラン変更(電子版→併読版など)は、無料期間終了後に反映されます。
■新ご注文受付サイト(新サイト開設と同時に開設)

《連載》世の目 人の目 聖書の目