生存危機感じると人は排外主義的に
オセージ族。アメリカ先住民族の一部族だ。彼らも他の先住民族と同様に土地を奪われ、保留地に追いやられる。ところがその土地から石油が出る。一族は巨万の富を得た。毎年莫大(ばくだい)な金銭が手に入る。まだ普通のアメリカ人にとって高価で簡単には買えない自動車を、彼らはいくらでも買うことができ、タイヤがパンクしただけで新車に買い替えた。
先住民族が虐げられていた時に、それでもオセージ族を支援した白人もいた。しかし、オセージ族が豊かになっていった時、次々と変死事件が起きる。今も真相は不明だが、数十人が殺害され、資産が奪われもした。そして主犯格は、あの親切に支援してくれていた白人と言われている。この事件をきっかけに、FBI(アメリカ連邦捜査局)が創設されている。
この事件は100年以上も前の出来事だが、近年になってノンフィクション本がベストセラーになり、スコセッシ監督、ディカプリオ主演で映画化もされている。それは、この事件が現代社会に突きつける課題を持っているからだろう。
白人キリスト教社会は、自分たちこそが世界のリーダーと考えてきたのではないか。日本人も、自分たちがアジアのリーダーと考えてきたのではないか。他の人々を助け「啓蒙(けいもう)」することが役割だと考えてきたのではないか・・・
