きよめ派 – クリスチャン新聞

福音主義神学会西部部会の２０２５年度秋季研究会議が10月20日、大阪府池田市の福音聖書神学校を会場に開催された。２本の主題講演を中心に、70人を超える参加者が考察を繰り広げた。 【山口暁生】 左から金井、岸本、木下の各氏 今回のテーマは「戦後80年 日本の教会を神学する」。戦後80年を迎えた今年、戦時下の教会と80年を経た教会を振り返り、改めて「教会」のあり方について神学的に整理しつつ、そこから学び取ることとは何かを考察しようとする意図が込められている。まず開会礼拝で南野浩則氏（福音聖書神学校教務）が、十戒に見る神の自己紹介を「過去から現在へ、そして未来へとつなぐもの」と取り上げ、歴史神学の重要性を提示してスタート。 （次ページで、きよめ派の歩み、旧日基とその後の歩み、など） きよめ派の歩み 主題講演１は、金井由嗣氏（日本イエス・キリスト教団千里聖三一教会牧師）による「きよめ派教会の戦後史を神学する」。金井氏は最初に「きよめ派」の定義が困難であると指摘した上で、「きよめ派とは何か」「自分たちはきよめ派なのか」という二つの問いを立てて考察を進めた。まず「きよめ派」とは「19～20世紀のリバイバル運動の一部としてのホーリネス運動の継承者である」と定義し、その運動が聖職者中心でも神学中心でもなかった点に着目した。 また日本のきよめ派については、戦前・戦中の流れを概観した上で、１９５１年に創立された日本福音連盟（ＪＥＦ）が「基本的にきよめ派の親睦団体としての性格を持っている」としつつも、福音派としてのアイデンティティーを重視して加盟していた団体や、逆にきよめ派でありつつもＪＥＦに加盟しなかった教会も多いと紹介。さらに日本におけるきよめ派のアイデンティティーと一体感を形成してきたものが神学校と聖会が形成する人脈にあったとした。 その上で、きよめ派内における「きよめ」の教理的理解について「ウェスレー研究への集中」「個別の伝統の強調」「『きよめ』『ホーリネス』理解の再考」の３点を挙げ、さらに「再臨信仰とディスペンセーション主義の関係」「戦争責任の問題」にも触れた。また、きよめ派教会が戦前戦後を通じて「教会論の弱さ」に直面し続けたと指摘し、共通の課題として「リバイバリズム」「伝道第一主義」「簡易信条主義」「カリスマへの依存」を挙げ、現在もなお教会論形成の過程にあると見なすべきであるとまとめた。 これを受けた応答講演では、吉田隆氏（神戸改革派神学校校長）が、特に学ばされたこととして「ホーリネス教団戦責告白」における加害者性の告白に無責任体質や民族蔑視といった「内なる天皇制」が指摘されている点に着目。「単なる神学や教会論の弱さではなく、日本の教会に共通する弱さ」であるとした上で、人脈によって築かれてきた伝統に根ざしつつも「人間中心性をどう克服するか」が課題であると指摘した。 旧日基とその後の歩み 主題講演２は、木下裕也氏（日本キリスト改革派岐阜加納教会牧師）による「戦中・戦後における『旧日基伝統』について」。19世紀に端を発し、戦時下で日本基督教団に組み入れられるまで半世紀余りにわたって日本を代表するプロテスタント教会の一つとして歴史を刻んだ旧日本基督教会の流れが、戦後どのように継承され、どのような神学的課題が存していたかがテーマである。 まず１９２０年代から日本基督教連盟が教派合同運動に取り組む中、合同協議には参加しなかった日本基督教会が、戦時下における教会合同の流れの中でどのような役割を果たしつつ日本基督教団に組み込まれていったのかをたどり、さらにその伝統を継承する三つの流れ――連合長老会と改革長老教会協議会、日本キリスト教会、日本キリスト改革派教会――の戦後の歩みを概観した。さらに神学的に継承された「旧日基伝統」における課題について、「『キリストの体』の形成――敬虔主義的傾向の克服」「『植村神学』とその継承をめぐって――『即啓示性』の観点から」の２点から検証した。 これに対する応答講演で鎌野直人氏（関西聖書神学校校長）は、「旧日基伝統」における人的交流はどうだったか、敬虔主義的傾向の克服が信徒レベルでも実現しているのか、といった視点を投げかけた。 続いて岸本大樹氏（大阪聖書学院学院長）の進行で、２本の主題講演に対する質疑応答。日本基督教会の大会議長を務めた後、日本基督教団設立時の統理となった富田満をどう評価するか、「内なる天皇制」についてどう考えるか、などの質問がなされ、講演者が考えを述べた。中でも、歴史神学の意義を問う質問に、木下氏が「悔い改めることです」と端的に答えたことが印象的だった。 最後に岩上祝仁氏（イムマヌエル神戸キリスト教会牧師）が「私たち人間は有限であり、時代・空間・文脈の制約を受けている。歴史神学を学ぶ者として、福音と教会を委ねられた者として、これからどう向き合っていくか。歴史を学ぶことで、私たちがこれからどう生きるかが問われる」と総括し、締めくくった。 2511071830 関連記事 https://xn--pckuay0l6a7c1910dfvzb.com/article-lfgp7er5jt1jdnyc/ https://xn--pckuay0l6a7c1910dfvzb.com/article-j3cl2bsw8euhwt5u/ https://xn--pckuay0l6a7c1910dfvzb.com/article-t5ry3gmr24pjhczk/

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きよめ派、旧日基とその後の歩み相互検証《福音主義神学会西部》戦後80年