ヨーロッパ

写真・Ying Tang/NurPhoto ゲッティ・イメージ 世界的な伝道団体、ビリー・グラハム伝道協会（BGEA）が、ヨーロッパのキリスト教保守派の法廷資金の援助に乗り出している。本紙提携の米誌「クリスチャニティトゥデイ」が7月29日に、電子版で伝えた。 「弁護基金」が、言論の自由と宗教の自由をめぐって訴訟を起こしているクリスチャンを支援する。 記・ケン・チットウッド（ベルリン） BGEAはこれを「軍資金」と呼んでいる。フランクリン・グラハム氏が率いるこの福音伝道団体は、2020年にBGEAのイベントを中止させた英国の7つの会場に対する訴訟で勝訴した損害賠償金から始まった法廷基金を保有している。この基金は現在125万ドルにまで増加しており、これは同じくフランクリン氏が運営する人道支援団体「サマリタンズ・パース」からの資金流入も一因となっている。この資金は、言論の自由と信教の自由をめぐる訴訟でヨーロッパの保守派クリスチャンを支援するために使われる。 「欧州全域で起きていることを考慮すると、この支援をヨーロッパ大陸全体のクリスチャンに提供することが適切だと考えられる」とBGEA顧問弁護士のジャスティン・アーノット氏はクリスチャニティトゥデイに語った。 アーノット氏は、十分な資金と賢明な法的戦略がなければ、クリスチャンはヨーロッパで福音を伝える権利を失う危険にさらされていると述べた。BGEAをはじめとする保守派団体は、特に性的指向や倫理に関する広範な文化的抵抗、そして憎悪的、有害、あるいは誤解を招くとみなされる発言に関する新たな規制によって、人々が罪を断罪し、聖書を説く能力が損なわれることを懸念している。 これまで、ヨーロッパではクリスチャンが目覚ましい法的勝利を収めてきた。フランクリン氏は訴訟で勝利を収めた。LGBTQの人々（「敵」）やイスラム教（「邪悪で非常に邪悪な宗教」）に関する同氏の過去の発言に憤慨した活動家たちは、スタジアム、会議場、劇場に対し、契約書に署名していたが、BGEAのイベントを中止するよう圧力をかけ、成功した。イギリスの海辺の都市ブラックプールは、地域住民からの苦情と「緊張の高まり」を理由に、市バスの広告を撤回した。そして2021年、英国の裁判所は、これは宗教差別であり、英国人権法および欧州人権条約では認められないと判断した・・・ （次ページ、ヨーロッパ他国の状況など、残り約2400字） 22年、ドイツでオラフ・ラッツェル牧師が勝利を収めた。教会の結婚セミナーで同性愛とLGBTQの人々について発言した際、裁判所は「奇妙」で「疎外感を与える以上のもの」であったものの、ヘイトスピーチには当たらないと判断した。彼はすべての容疑で無罪判決を受けた。 フィンランドでは同年、保守派の政治家と教会指導者が勝訴した。裁判所は、同性愛に関する彼らの発言は「不快ではあるが、ヘイトスピーチではない」との判決を言い渡した。判事は、国会議員のパイヴィ・ラサネン氏とフィンランド福音ルーテル教会宣教区のユハナ・ポホヨラ司教が憎悪を煽ろうとしたのではなく、聖書に対する自らの見解を説明しようとしたと判断した。裁判所によれば、たとえ特定の聖書解釈によって人々が侮辱されたと感じたとしても、フィンランド法および欧州法の下では、そのような行為は許容されるという。 検察側は控訴し、事件は23年に再審理された。ラサネン氏とポホヨラ氏は再び 勝訴し、現在、フィンランド最高裁判所に係属中である。 しかし、欧米の多くの保守派は、言論の自由と信教の自由への支持が弱まっていると懸念している。例えば、2月にミュンヘンで行われた演説で、J・D・ヴァンス米副大統領は、ヨーロッパが「良心の権利から後退し」、そして「最も基本的な価値観の一部から後退している」と警告した。 政治的立場の反対側では、LGBTQや中絶の権利を擁護する人々も自由の喪失について警鐘を鳴らしている。しかし彼らは、BGEAや自由を守る同盟（ADF）インターナショナルといった保守的なキリスト教団体を非難している。 性と生殖に関する権利に関する欧州議会フォーラム事務局長ニール・ダッタ氏は、キリスト教団体が人権を後退させ、極右政党に権力を握らせようとして、中絶へのアクセスやLGBTQの権利に関する議論を推進し、資金提供していると述べた。 「資金、国際協調、そして政治的統合の規模は…前例のないものだ」とダッタ氏は記した。「ジェンダー平等と性と生殖に関する健康と権利における数十年にわたる進歩への反発は、ヨーロッパ全土で権力を獲得しようとする極右の戦略の中心にある」。ダッタ氏は、ポーランド、ハンガリー、スロバキア、イタリアといった国々を例に挙げ、中絶へのアクセスやLGBTQの権利に関する議論の後退がEU議会議員の懸念を招いていると述べた。 ダッタ氏は、ビジョン・ネットワークがこの保守的な政策を調整する上で重要な拠点であると指摘する。ADFインターナショナルの戦略関係担当ディレクター、ソフィア・クビー氏が共同リーダーを務めるこのグループは、多様なグループを結びつけ、性、中絶、結婚、避妊へのアクセスに関する立法・法的戦略の策定を支援している。 ダッタ氏によると、そうした戦略の1つは、「法廷で裁かれるような反応を引き出すために意図的に挑発行為を起こす」ことだ。 ダッタ氏は、クリスチャンによる沈黙の祈りやろうそくの灯をともした集会といった抗議活動への対応として、中絶クリニックの周囲に緩衝地帯を設ける英国の法律をめぐる議論を例に挙げた。ダッタ氏は、これらの緩衝地帯は宗教儀式を装った強制を抑制するために必要だと述べた。しかし、ADFインターナショナルは、祈りが犯罪化され、信教の自由が脅かされていると主張している。同団体は緩衝地帯の侵害に関連する一連の訴訟に取り組んでいる。 英国の福音派を専門とする政治学者アンドレア・ハッチャー氏は、「キリスト教右派はヨーロッパで政治運動を支えるだけの勢力を持っていない。ほとんどの地域では選挙での勝利は不可能だろう」と述べた。しかし、法廷闘争は支持を広げる一つの方法となり得る。 「彼らの活動を『言論の自由』として位置づけることは、より広範な世俗的な聴衆への戦略的なアピールだ」とハッチャー氏は述べた。そして、訴訟が起こされるたびに、より多くの共感者や「資金力のある世界的なキリスト教ナショナリスト」とのつながりが深まるのだ。 もちろん、裁判に訴えているキリスト教団体は、こうした描写の多くに異議を唱え、陰謀論的な枠組みを否定している。しかし、彼らは投票よりも裁判での勝利の方が多いことを認めている。そして近年、言論の自由を求める闘いは、保守的なクリスチャンが訴える問題のための闘いよりも成功を収めている。 「中絶といった問題に関する私たちの活動は、敵対勢力のイデオロギー支配に深く偏り、影響されている機関の中では、ますます困難になっていた」と、キリスト教保守系シンクタンク、欧州法正義センターのグレゴール・プピンク所長は述べた。「私たちの価値観にますます敵対する社会の中で、クリスチャンが自己表現できるよう、私たちは闘わなければなりません」 ADFの欧州アドボカシー活動責任者であるフェリックス・ベルマン氏は、「訴訟への重点は法改正への対応でもある」と述べた。彼は、EUが22年に可決したデジタルサービス法を例に挙げた。支持者たちは、オンラインプラットフォームを規制するこの法律は「偽情報」や「ヘイトスピーチ」への対策に不可欠だと主張している。しかし、「この法律の施行は広範な検閲の土壌を作った。その結果、インターネットは厳しく管理され、自由な意見交換が抑制されることになるだろう」と語った。 ベルマン氏によると、これは保守派にとってだけ悪いことではない。ヨーロッパ全体にとって悪いことだ。「開かれた議論なしには、自由で民主的な社会はあり得ない」と話した。 125万ドルの「軍資金」を擁するBGEAの弁護基金は、欧州の法律と政治に広範な影響を及ぼす可能性がある。しかしBGEAは、真の目的はクリスチャンが福音を伝える際に何ら制約を受けないようにすることだと述べている。 「真の希望はイエス・キリストの中にのみ見出されることを私たちは知っている」とフランクリン牧師は24年にこの基金が初めて発表された際に述べた。「ですから、どんなことがあっても、イエス・キリストの福音を広めるために私たちは互いに支え合う必要があります」 関連記事 https://xn--pckuay0l6a7c1910dfvzb.com/article-87sbgqekdjy24flc/ https://xn--pckuay0l6a7c1910dfvzb.com/article-taxtsgw3acybfkwk/ https://xn--pckuay0l6a7c1910dfvzb.com/article-v9m3k7iskhwe0vyd/

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