中絶 – クリスチャン新聞

写真＝西尾和子さん（左）と永原郁子さん （１面つづき）「小さないのちのドア」は２０１８年、助産師の永原郁子さんが神戸市北区で開業しているマナ助産院の敷地内に併設して開設され、思いがけない妊娠や、育児が困難で追い詰められた女性と赤ちゃんを支援してきた。助産師、保健師ら専門スタッフが24時間365日、メールやライン、電話、来所などで寄せられる相談に対応している。これまでの相談件数は１万４千件以上にのぼる。 思いがけない妊娠の背景には、貧困や家族崩壊などの背景を持つ女性たちが少なくない。頼る人もなく、住む所さえないまま妊娠した女性たちの多くが未受診で、母子のいのちが危険にさらされている。そんな女性たちが安心して出産し、新たな人生をスタートできる生活支援の場の確保は、小さないのちのドア開設以来の悲願だった。 助産院に隣接した場所に「マタニティホーム・Musubi」は完成した。名前に込めたのは「心が結ばれる、いのちが結ばれる、関係が結ばれる」という願い。内壁の塗装などは、スタッフやボランティアが協力して作業にあたった。家具、調度品は多くの人から支援品が寄せられた。温かで落ち着いた雰囲気の、わが家のようなホームになった。 「たくさんの方の愛で出来上がったマタニティホームです」 ホームの定員は５人。ここに事務所を置き、24時間助産師や保健師など国家資格を持ったスタッフが常駐で相談に応じ、出産時は連携の病院に搬送できるよう体制を整えている。すでに２人の赤ちゃんがここで誕生した。一組のある親子は、ここがあったからすぐに身を寄せることができた。 小さないのちのドアの理念の根底にあるものはマタイ25章40節にある最も小さな者に仕えること。小さないのちである胎児や新生児、また弱い立場にある女性に寄り添い、いのちや心が救われるように最善の方法をともに考えていく。 「懸命にケアしても、届かない人や解決策を見出すことが難しい状況もありますが、私たちは神様に委ねることができます。小さないのちのドアのスタッフは全員クリスチャンです。一致して、祈り合うことで、守ることができるいのちがたくさんあります」 18年の中絶件数は全国で約16万人。１日400人以上、実数は千人以上ではないかと言われている。永原さんは「何とかこの流れを止めないと。中絶しかないと思っている方の中にも、相談することで産む選択をし、今幸せに暮らしておられる方はたくさんおられます」と、中絶する前に相談できるこうした場所の必要を訴え続けている。 「日本には妊婦の生活支援に特化した制度がありません。小規模でもいい、困っている妊婦さんにすぐにおいでと言える、安心して過ごせる場所が増えるよう、ここから発信していきたい。それが私たちの働きです」 新型コロナ感染拡大の緊急事態宣言下、若年層の妊娠の増加が懸念されている。２～３月が臨月という人が多いはずだと、永原さんは危惧している。相談できる場所の確保は急務だ。 小さないのちのドアでは「妊娠・子育てＳＯＳチャンネル」を配信している。ホームページdoor.or.jpから入れる。 事務局ではクリスチャンのスタッフを募集している。助産師、保健師、社会福祉士、公認心理士あるいは臨床心理士、母性に熟練した看護師が必要だ。助産師の場合、マナ助産院での兼務も可能。同法人のある神戸市北区ひよどり台は住宅が多く、住居費補助もある。 問い合わせは小さないのちのドア事務局TEL０７８・７４３・２４０５ info-inochi@door.or.jp働きへのサポート等支援の窓口も同じ。小さないのちのドア相談窓口はTEL０７８・７４３・２４０３inochi@door.or.jp

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中絶

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