「教会福音讃美歌」新春に発刊――礼拝賛美と宣教に用いられることを 記・安藤能成
十字架と復活の主イエス・キリストを讃美し、新年のご挨拶を申し上げます。昨年の東日本大震災はその影響を各方面に及ぼしておりますが、多くの努力によって再生に向かっていると信じます。被災された諸教会自らの復興に向かう力と支援の力がこれからも備えられるようお祈り致します。
私たち福音讃美歌協会が取り組んでまいりました一つの実が『教会福音讃美歌』としてこの春に結ばれる運びとなりました。この働きを覚えてご支援くださった皆様には心から感謝申し上げます。またこの働きをこの紙面をとおして知ってくださる方々には喜びをもって紹介させていただきます。
私たちの望みである主を讃美すると希望が見えてきます。力が湧いてきます。この取り組みを始めようとしたときには、余りにも課題が大きく、私たちが微力であることを思いました。それは偉大なお方を、被造物に過ぎない人間の思いと言葉と音楽によって表すことの大変さです。また具体的な作業を進めることにおいても謙虚にならざるを得ませんでした。
そのような中で力をくださったのは主ご自身であり、また讃美の力でした。讃美歌創作の先駆者たちの作品に改めて向き合うことによって、そこに表現された主の偉大さと、讃美歌作者たちの信仰と敬虔、そして作品の素晴らしさは大きな励ましとなりました。
『教会福音讃美歌』が皆様方の礼拝讃美と信仰の高揚、そして福音宣教のために用いられることを心から願っております。
礼拝で会衆が一緒に歌える 記・田中 進
福音讃美歌協会のもとにある讃美歌委員会は、2009年の日本伝道会議にあわせてサンプル歌集『あたらしい歌』を発行し参加者全員に配布、販売しました。収録はわずか20曲ですが、日本語では紹介されていなかった海外の讃美歌の新たな翻訳や日本のオリジナル曲、既存の讃美歌の改訳などです。手作りのCDを付録として付けるため、ピアノ、ギター、パイプオルガンとバラエティに富んだ伴奏で、会衆讃美を意識し合唱を収録しました。
委員たちも素人ながら取り組んだことを懐かしく思い出します。楽譜には可能な限りコードも付けました。だれもが、いっしょに歌えるように、そんな目的で作りました。
「礼拝において会衆がともに歌う讃美歌集」。新しい『教会福音讃美歌』においてもこの姿勢は変わりません。明らかに独唱用である場合は、どんなにすばらしい曲でも断念しました。また、今の時代の会衆が、「意味を
理解できる歌詞」であることも重要でした。「歌い継がれてきた讃美歌」を多数採用しましたが、思い切って原詩から翻訳したものも少なからずあります。既存の讃美歌集から300曲をそのまま採用しましたが、その中には
97年に出版された『讃美歌21』からの約90曲、中田羽後師の『聖歌』からの30曲が含まれています。これらの作品は、いずれも慎重な検討を経た上で、現代の福音派の礼拝にふさわしいものとして選ばれました。新しい讃
美歌集ですが、このように発行に踏み出せたのは、日本キリスト教団出版局と讃美歌委員会、教文館をはじめとする、関係諸教団、諸団体のご協力をいただいたからです。感謝申し上げます。
目次にその特色が現れています。神学的・実際的な見地から、三位一体の神、父なる神、イエス・キリスト、聖霊なる神、神のみことば、神の国、教会、教会の営み、救いのみわざ、信仰の歩み、伝道と宣教、神の造られた世界、という大項目。その下に小項目が付けられています。索引も充実させ、各主題の他、聖書索引も付け、選曲を容易にできるよう工夫するつもりです。「福音」の信仰を大切にしながら「主への讃美と信仰の歌」とバランスのとれた選曲を心がけました。また教会の諸行事、たとえば献児式・幼児祝福式、敬老の日などの讃美歌は新たに作りました。交読文はありませんが「主の祈り」と「使徒信条」は収録します。
讃美歌は歌うためのものです。新讃美歌集の音源として廉価な自動演奏機を販売することも、いのちのことば社が検討してくださるそうです。実現を期待しています。また、讃美歌CDや、やさしい伴奏譜なども制作していく予定です。
発売記念特価販売が用意されています。個人の購入だけでなく、教会の備付用に、ぜひこの機会にお買い求めください。
伝統曲から新作までジャンルも多様 記・下川羊和
この讃美歌集の音楽面での特徴、その採用されている讃美歌の時代背景は、既存の讃美歌集と同様に考えうる限りの古いものから、最新のものまで含む幅広いものです。伝統を重んじつつ、新しい良いものを積極的に取り入れる努力は委員の間の一致した見解でした。既存歌集からの採用に限りがあるという外すことのできない条件は、歌集を手に取った時に感じる新しさにつながることと思います。日本の福音主義的クリスチャンの新作讃美歌もよく検討し、出来る限り採用するよう努めました。想定される礼拝での使用を考えた新作讃美は、とりわけお薦めのものです。
しかし新曲を取り入れることに積極的だったからと言って、伝統的なものを次々と改変したというわけでもありません。一つひとつの讃美曲を検討し、古いままでよく用いられていると認められるものは、そのままの形を残すように努めました。一つの方向性を重視するのではなく、個別に検討しました。ですので音楽のジャンルは幅広く、新旧取り混ぜた現代の時代性を象徴するものとなっているでしょう。あくまで礼拝での使用を主眼におき、しかし音楽のジャンルに境は設けませんでした。コンテンポラリー・ワーシップソングも、用いられているもの、良いものは出来る限り採用するようにしました。
編曲においては、これも礼拝での奏楽者の実際を想定しつつふさわしい譜面を採用するよう努力しました。音域が広く歌いづらいと評価されたものは下げた調を採用しました。メロディーとコードのみを記した楽譜も多くあります。自由な伴奏にチャレンジしていただけたら幸いです。なお四声体の記された従来の讃美歌にも可能な限りコードをつけて、色々な楽器の奏楽者が参加できることも期待しています。コード付けは音楽の一つの解釈ですので参考にしていただければと思います。
記譜は、見開き2ページ、あるいは1ページで全ての讃美歌それぞれを見ることができるようにしました。歌詞を楽譜の中に入れ、歌いやすいように、また、歌詞の文字をできる限り大きく、音符も見やすい音符が丁寧に打ち込まれています。
願わくばこの歌集が諸教会の礼拝讃美のために貢献するものとなりますように。
5曲に2曲は新しい歌詞に出合う 記・齊藤一誠
この新しい讃美歌集にはこれまでに出版された歌集からの転載も含めて506曲が収められていますが、歌詞について見ると、その内訳は、従来の歌集からそのまま受け継いだものが約300曲、従来の歌集から採られた曲の中で改訳されたものが約150曲、海外の歌集から選ばれたこれまでの日本語の歌集にはない曲の新訳が約30曲、そしてこの讃美歌集のため新たに創作された新曲の歌詞が約20曲です。
ですから『教会福音讃美歌』を手にした人が歌詞の面で新しさを感じるのは改訳もふくめて約200曲で、これは全体のほぼ5分の2にあたります。つまり、この新しい歌集で讃美するとき5曲に2曲は新しい歌詞に出合えるわけで、この新鮮な体験が歌詞から見た『教会福音讃美歌』の特色といえるでしょう。
改訳・新訳された新しい歌詞を一つひとつ検討し最終的に整え定めてゆく作業は、讃美歌委員会の中に設けられた「歌詞チーム」の働きとして、「音楽チーム」との協議や「神学委員会」との意見交換を踏まえて行われました。しかし、そこには諸教会のご協力があり、なによりも改訳・新訳作業に加わってくださった多くの翻訳奉仕者の献身的な努力があって、このご支援なしには歌詞をあらたに定めてゆく作業は不可能でした。祈りつつ、祈られつつ、主の守りの中で作業を終えることができたことに感謝しています。
半世紀前には会衆に無理なく理解され受け入れられた言葉も、現代の青年層や求道者にとっては、馴染みが薄く、理解しにくく、日常の言語感覚からのズレを感じさせてしまうようなものになっています。そこで、『教会福音讃美歌』の改訳・新訳作業では、原詩の意味をあらためて確認しつつ、現代の言語感覚で無理なく理解できるような分かりやすい言葉の選択と表現を模索しました。
ただ、改訳・新訳された新しい言葉を曲と一体化させてゆく作業には、音韻数の限界、原詩の言語と日本語との発想の違い、既存の歌集の中で長く歌い継がれてもはや動かしがたく知れ渡っている歌詞の存在、文語体による数々の名訳等々、さまざまな条件が立ちはだかり、終始困難がつきまといました。
現代の言語感覚と親和性をもつ簡素にして深い意味を湛えた言葉づかいを心がけましたが、それが信仰の歌声として唇から発せられるときどのような響きが生まれどのように心に届くのか、今は、ひとりでも多くの方がこの新しい歌集を手にとって、自らの讃美で確かめていただけることを願っています。
