今年も約100人が平和を祈るために集った

戦後77年の8月15日早朝、今年も東京・千代田区の千鳥ヶ淵戦没者墓苑で「8・15平和祈祷会」(同実行員会主催)が開催された。長尾有起氏(日基教団・千代田教会牧師)がルカによる福音書10章25~37節の善いサマリア人のたとえ話(新共同訳)から「わたしの隣人」と題して説教した。

長尾氏は2015年から7年間、韓国のミッションコーワーカー(宣教師)として活動。韓国のこども賛美歌「ウリエイウッソン(私たちの隣人)」を紹介しつつ、「追いはぎに襲われた人の隣人とは誰か、どうしたら隣人になれるか」と問うた。「日本はアジアの国々を侵略し、あまりに多くのものを奪ってきた。朝鮮半島の人々からは土地、言葉、名前を奪い、性を蹂躙(じゅうりん)し、命を奪い、あらゆる方法で人間の尊厳を奪ってきた。77年前に戦争は終わったが、私たち日本人は、奪ってきたものをいまだに返せずにいる」「私たちはサマリア人どころか、見て見ぬふりをする祭司、レビ人ですらなく、追いはぎと言わなければならない。追いはぎが他者の痛みに共感するのは滑稽(こっけい)だが、せめて自分がしたことは自分事として反省すべきだ。追いはぎが信じてもらえるためには、血の滲(にじ)む努力が必要だ」

説教後、参加者全員で「ウリエイウッソン」を日本語、韓国語で賛美した。

長尾有起氏