宗教改革に始まり今に続く聴従、黙想(榎本)/信仰が単なる習慣になってはいけない(河崎)
榎本 アシュラムセンターは、1975年に設立されましたので、50周年を迎えることになります。
河崎 おめでとうございます。キリスト教超教派の祈りの場として、今アシュラムセンターの存在意義がますます高まってきていることは確かです。
榎本 祈りとみ言葉に聴(き)く超教派の黙想運動は、今日、必要とされる態度であると確信しています。
河崎 キリスト教の信仰が、単なる習慣で生きるだけのキリスト者のものになってしまっていてはいけません。今のままでいいのかという懐疑の姿勢は常になくてはならないのではないでしょうか。
榎本 そうですね。古くはルターの宗教改革に始まり、プロテスタントの歴史を通してずっと、言わばふつふつと沸き起こっている改新の運動と言えますね。
河崎 かつて17世紀のドイツに「第二のルター」と呼ばれる人物がいました。改革派ルター主義者であり、プロテスタント神学者のF・J・ シュペナーという人です。彼は、敬虔主義(ピエティズム)の父とも称されています。このシュペナーから説き起こし、ドイツ・ルター派教会の信仰覚醒運動を追い、個人レベルの深い信仰の生活とはいかなるものか確認することは注目に値します。
榎本 そうです。この改革運動は、確かに時期的には17世紀・18世紀に発生したものですが、この時期にとどまらず、それ以降も長く引き継がれ、現代にまで至るキリスト教改新の大きな潮流と解することもできる重要な取り組みです。理性よりも個人の信仰体験を重視する「心の信仰 heart religion」とも呼ばれる敬虔主義が提唱する信仰運動は、神のみ言葉に聴従するという、アシュラムの精神と共通する部分も多いわけなんです。
河崎 なるほど。信仰改革運動が何世紀ものスパンを経た後、アメリカでアシュラム運動が生まれ、今や全世界的に広まりつつある信仰改新の動きであると言えるということですね。
榎本 ヨーロッパからのアメリカへの伝道という観点をもう少し詳しくみると、18世紀当時ドイツのヘルンフート兄弟団(ドイツ語圏以外ではモラヴィア兄弟団)は積極的に活動していて、イギリスのジョン・ウェスレーとも新大陸で交流があったほどです。ヘルンフート兄弟団は、ミッションとして今なお伝道し続けているという意味で、敬虔主義の流れを汲(く)む信仰グループの、アメリカにおける中心と言えるでしょう。
河崎 また逆に言えば、自分の信仰にあまり自信をもてずにいたウェスレーが、ボヘミアのフス派の宣教師から聞いたルター説教集の一句に、心と体を雷のごとく打たれた(第二の回心)というエピソードがあるくらいに、ドイツ側の影響がウェスレーに及んだとも見られるかと思います。
榎本 ウェスレーのメソジスト運動は18世紀にイギリス国内で盛んになりますが、ご存知のように、それはアメリカ大陸にも拡大していきます。当時アメリカは大英帝国の植民地だったわけですが、1776年に独立宣言をしてアメリカ合衆国が誕生します。そうするとウェスレーは、新大陸のメソジストたちをメソジスト監督教会として組織し、イングランド国教会から独立させていきます。
①アシュラムセンター創立50年 現代に生きる超教派運動 アシュラム
③毎朝15分の聴従が日常を変える(榎本)/み言葉に聴き、自分の信仰に向き合う(河崎)

90年前に建てられたヴォーリズ建築の洋館「シメオン黙想の家」
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