毎朝15分の聴従が日常を変える(榎本)/み言葉に聴き、自分の信仰に向き合う(河崎)
河崎 クリスチャン・アシュラム運動の創始者であるスタンレー・ジョーンズはメソジスト教会の宣教師でしたが、ドイツ敬虔主義に触れたウェスレーの精神、霊性は、メソジスト運動を通してジョーンズにも受け継がれていたと考えられるでしょうか。
榎本 もちろん時代は下って20世紀に入っているわけですが、そう考えても無理はないと思います。彼は1907年、23歳の時に宣教師としてインドに渡りますが、そこで「アシュラム」に出会います。アシュラムとはサンスクリット語で、「毎日の勤労から隔離された場所」という意味があり、そのような修行の場がインドには多数存在します。そこにはグル(教師)という人がいて、その人の周りにアシュラムが展開され、周りの人はだんだんとそのグルの特性を引き継ぐようになる。ジョーンズは、マハトマ・ガンジーと親交があり、彼のアシュラムにしばしば参加していました。ガンジーもジョーンズからキリスト教の知見を得ていました。ジョーンズは、インドのアシュラムの概念をキリスト教化しました。クリスチャン・アシュラムのグルは人間ではなく、イエス・キリストだということです。
河崎 具体的にはどのような形で行われますか。
榎本 クリスチャン・アシュラムは、「開心の時」と「充満の時」という二つの柱がベースになっています。「開心の時」で参加者は、「なぜあなたはここに来たのか? あなたが欲しいものは、本当に必要なものは何か?」と質問され、それをもとに教師と参加者が聖書から学んでいきます。二つ目の柱である「充満の時」で参加者は、自分たちが何を見出したかについて話し、そこでの交わりが個人個人の許しの体験となるのです。
河崎 日本にはどのように伝わりましたか。
榎本 55年に第1回日本アシュラムが開催され、日本クリスチャンアシュラム連盟が結成されました。その普及に伴い、75年には私の父榎本保郎がアシュラセンターを開設し、より日本人に合ったアシュラム運動を広めました。ただ、センター開設の2年後に、父は召されましたが。
河崎 それでもその働きは継続されて、50年を迎えたということですね。
榎本 それは何よりも、アシュラム運動が祈りの生活運動だからだと思います。一日の始まりを心静かに神と言葉を交わすように祈り、聖書に神のみ言葉を聴き、それに従う。毎朝15分間の祈りと聖書に聴く習慣が日常を変えるのです。
河崎 一過性のイベントのようなものではない、ということですね。榎本 規則正しい聖書の読み方や瞑想(めいそう)が説かれている書物ということでは、父の保郎がよく、ボンヘッファーの『共に生きる生活』に言及していたのを思い出します。神のみ言葉の下で共に生きようと願うところでは、自分自身の言葉で共に神に祈るべきであるし、また共に祈ることを許さている、という思いで『共に生きる生活』に触れていたのだと思います。
河崎 先の「心の信仰 heart religion」という点につながるのかもしれません。ボンヘッファーの言葉は、時代や状況の差異を超えて今日もなお私たちに迫り、キリスト者として生きる一つのモデルを示していますから。
榎本 総じて言えば、神が聖書を通して自分に今、何を語っておられるかを聴き取り、従う。このような人たちは、福音に生かされた生活へと導かれていきます。
河崎 「アシュラム」という運動も、こうした霊性を求める運動の一つであると考えられますが、そのような恵まれた時こそ、自分が本当に何を信じているのかを自覚し、その信仰に向き合うタイミングでもあるのですね。
①アシュラムセンター創立50年 現代に生きる超教派運動 アシュラム
②宗教改革に始まり今に続く聴従、黙想(榎本)/信仰が単なる習慣になってはいけない(河崎)

上:シメオン黙想の家の前に広がる”ラビリンス”。見ながら、歩きながら、黙想する
下:み言葉に聴き、黙想する

創立50周年記念 第20回国際正義・平和アシュラム
記念講演会
講 演:「『証し 日本のキリスト者』で出会った人々」
講 師:最相葉月(ノンフィクションライター)
日 時:11月24日(月)11:00-12:30
場 所:近江八幡市・ヴォーリズ学園教育会館
記念礼拝
説 教:「今、再び『心が燃える』ために」
奉仕者:中道基夫(関西学院院長)
日 時:11月25日(火)11:00-12:00
場 所:大津市・ピアザ淡海大会議室
「すべての地に安息を」コンサート
出 演:横山大輔・和子(ゴスペルシンガー)、他
日 時:11月25日(火)会場17:30 開演18:00
場 所:ピアザ淡海 ピアザホール
入場無料。詳細はhttps://www.ashramcenter.jp/
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